生産者の取組み

長崎県の若手農家が実践! ドローンを使った”次世代型”の栽培管理方法って?

長崎県佐世保市鹿町で、「棚田を守ることで地域社会を守りたい」という一人の若者の想いから始まったe-Tanadaプロジェクト。そこでは、ドローンでの農地解析サービスが活用されていた。

耕作放棄地を再生し
若い人たちへと受け継ぎたい

長崎県佐世保市鹿町に、江戸時代から受け継がれてきた棚田の一等米地がある。山の栄養分を届けてくれる山頂からの湧き水を、幾重にもなる棚田が静かに湛えている。そんな日本の原風景が後継者不足により、消滅の危機に瀕していた。そこで若手の生産者と、友人の研究者が立ち上げたのが『e-Tanada』プロジェクト。

プロジェクトに携わる前田さんは、大学卒業後に県の農業研修を受けて営農を開始。「生まれ育った地域の棚田を次世代に残したいという想いで、棚田を引き継ぎました。大学で土づくりを研究していた下高さんと意気投合して、4年前から『土にこだわる』『栽培管理にこだわる』などのテーマを掲げて米づくりをしています」と話す。

昨年には、土づくりの成果が出て、香り高いお米が出来た。それを『九十九雫』と名付けて売り出すと短期間で完売したという。そうして生まれた利益で、棚田を共同管理するための農機や資材の購入を行い、永続的に管理できる体制を作っていくのがこのプロジェクトの目的の一つ。

栽培管理を行う下高さんは、「ゆくゆくは耕作放棄されている棚田を一枚一枚、元に戻していきます。そして地区内の空家を綺麗にして、棚田を受け継ぐ移住者が住めるようにしたい。若い人が入ってきてくれて初めて、地域社会を守ることができる。それが私達にとってのゴールです」と想いを語ってくれた。

徹底した栽培管理は
どのように行っている?

“栽培管理にこだわる”という部分では、農地解析ドローンサービス『MIETA』を提供するKMT株式会社が今年度から参画している。同社は長崎県諫早市に本社があることから、プロジェクトの噂を聞き付け、協力を申し出たのだという。

「『MIETA』では、撮影して解析した画像をリアルタイムに圃場で確認できるから便利です。私達が生産者として保有している情報と、『MIETA』でわかる葉の健康状態を照合することで、実際の栽培管理に使えるデータが取れることが分かってきました」と前田さん。


除草必要箇所(上側黄色い箇所)と除草箇所(下側赤いライン)などの作業状況が確認できる。過去の情報を照らし合わせることで、より鮮明な田んぼの状況も見える。例えば田んぼ右角が若干赤いが、ここは毎年深堀してしまい生育が悪い場所だ。NDVIで一目でわかるので栽培管理に利用できる。

 


『土にこだわる』のは本プロジェクトの一つのテーマ。山の土のように放線菌が活性化する独自の肥料を開発した。4年目の今では、泥パックができる程に土の粒子が細かくなった。

得られたデータがどのように活用されるのか――? 次回(2019年10月公開予定)の記事では、さらに詳しく結果をレポート! ぜひチェックして欲しい。

次世代農地解析ドローンサービス
『MIETA』とは?


『MIETA』は、高性能マルチスペクトラムカメラを本体に内蔵したドローンと、撮影した画像を解析する専用ソフトを組み合わせたサービス。圃場の状態をタブレット端末等でNDVIマップとして確認できる。機体は専用リュックで背負える程にコンパクトで、圧倒的な低価格も魅力。共同体単位で購入するなどの共同利用もオススメだ。

<導入価格>
リースの場合:2万8700円~/月、
ドローン購入の場合:1万5910円~/月

 

プロジェクトに携わっている人

左から、生産者/一般社団法人 日本未来農業研究会 理事前田晴郎さん。KMT株式会社代表取締役 森塚計介さん。KMT株式会社 ドローンプロジェクト室 エンジニア 佐名茂幸さん。長崎総合科学大学 客員研究員/一般社団法人日本未来農業研究会代表理事 下高敏彰さん。

 

問い合わせ

KMT DRONE SERVICE
TEL:03-6257-1197
info-drone@kmtech.jp


photo: Chihiro Fuchigami
text: Reggy Kawashima

AGRI JOURNAL vol.12(2019年夏号)より転載

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2019年7月16日発行

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