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生産者の取り組み

野菜育ては、人育て。“農”の力を活かして人をつなぐ

「作る」「食べる」「学ぶ」をテーマに、新しい農業ビジネスを展開する『えと菜園』の経営者、小島希世子さん。まさに新しい農業をイメージする上でアイコン的な存在といえる彼女が描く、未来図を聞いた。

「食卓」と「農業」そして、
「食」と「職」をつなげる試み

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NPO法人農スクールでは、働きたいけど仕事がない方と人手不足の農業界をつなぐ取り組みをしています。
生活保護受給者は全国に215万人、職を持たないニートと呼ばれる若者は全国に63万人もいます。
一方で農家の数は戦前の550万戸から現在は250万戸まで約半数に減少し、しかも農業従事者の平均年齢は65歳。人手不足・後継者不足が深刻なんですね。この二つをつなげることで両方の問題が解決できるんじゃないかと考えたんです。

そこで農を通じて「食べること」「生きること」「働くこと」を見直すスクールとして立ち上げたのが農スクールなんです。実際、ホームレスの人たちの中には肉体労働で一日中働いていたり、重機など使える人もいて人生経験も豊富で私たちが学ぶことばかり。チャンスときっかけ次第なんですね。

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農スクールを出て地方の農家に就農した人や働くことへの意欲を取り戻して再就職や復職した人たちもいます。

ニート・ホームレス・生活保護受給者の各支援団体や他のNPO団体と連携しながら取り組みを進めてますが、私たちだけでは限界があります。年間10人が限度。農スクールを終了した人や私たちの考えに賛同してくれる人が増えて全国各地で同じ活動をする団体が増えるのが一番良いカタチだと思っています。

「野菜育ては人育て」という農の能力を活用したプログラムを受けられる場所や食と職をつなぐ拠点が増えていくという未来図を描くと、これからの農業が楽しみで仕方がありません。


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えと菜園代表取締役
小島 希世子さん

1979年熊本県生まれ。幼い頃から農家に囲まれて育ち、小学生のころにみたテレビ番組がきっかけで農業を志すように。大学卒業後、産地直送の会社に勤務、’06年個人事業としてネットショップを起業、’09年法人化、株式会社えと菜園を設立。農薬を使わない体験農園「コトモファーム」もスタートする。農業の可能性を様々なスタイルで具現化、多くの人の役に立てる農家を目指す。


取材・文/松浦良樹

※『SOLAR JOURNAL』vol.12より転載

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