生産者の取組み

野菜育ては、人育て。“農”の力を活かして人をつなぐ

「作る」「食べる」「学ぶ」をテーマに、新しい農業ビジネスを展開する『えと菜園』の経営者、小島希世子さん。まさに新しい農業をイメージする上でアイコン的な存在といえる彼女が描く、未来図を聞いた。

「食卓」と「農業」そして、
「食」と「職」をつなげる試み

sj_nts_20161028_03

NPO法人農スクールでは、働きたいけど仕事がない方と人手不足の農業界をつなぐ取り組みをしています。
生活保護受給者は全国に215万人、職を持たないニートと呼ばれる若者は全国に63万人もいます。
一方で農家の数は戦前の550万戸から現在は250万戸まで約半数に減少し、しかも農業従事者の平均年齢は65歳。人手不足・後継者不足が深刻なんですね。この二つをつなげることで両方の問題が解決できるんじゃないかと考えたんです。

そこで農を通じて「食べること」「生きること」「働くこと」を見直すスクールとして立ち上げたのが農スクールなんです。実際、ホームレスの人たちの中には肉体労働で一日中働いていたり、重機など使える人もいて人生経験も豊富で私たちが学ぶことばかり。チャンスときっかけ次第なんですね。

sj_nts_20161028_02
農スクールを出て地方の農家に就農した人や働くことへの意欲を取り戻して再就職や復職した人たちもいます。

ニート・ホームレス・生活保護受給者の各支援団体や他のNPO団体と連携しながら取り組みを進めてますが、私たちだけでは限界があります。年間10人が限度。農スクールを終了した人や私たちの考えに賛同してくれる人が増えて全国各地で同じ活動をする団体が増えるのが一番良いカタチだと思っています。

「野菜育ては人育て」という農の能力を活用したプログラムを受けられる場所や食と職をつなぐ拠点が増えていくという未来図を描くと、これからの農業が楽しみで仕方がありません。


sj_nts_20161028_01
えと菜園代表取締役
小島 希世子さん

1979年熊本県生まれ。幼い頃から農家に囲まれて育ち、小学生のころにみたテレビ番組がきっかけで農業を志すように。大学卒業後、産地直送の会社に勤務、’06年個人事業としてネットショップを起業、’09年法人化、株式会社えと菜園を設立。農薬を使わない体験農園「コトモファーム」もスタートする。農業の可能性を様々なスタイルで具現化、多くの人の役に立てる農家を目指す。


取材・文/松浦良樹

※『SOLAR JOURNAL』vol.12より転載

関連記事

特集企画

アクセスランキング

  1. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  2. 2020年3月末で経過措置が終了、新「食品表示法」の注意点とは?
  3. “食べられるバラ“を新たな形に! 女性起業家が切り開く農業の未来とは
  4. AIがおいしさを判定!? 「食べなくても味がわかる」アプリ登場
  5. 増税対策、あなたは万全? 農家が知っておくべき「軽減税率」と注意点とは
  6. スマート農業はここまで進化した! 今後の課題と未来とは……?
  7. 農家の新しいつながりを作る! プラットフォーム6選
  8. 農産物の国際基準・グローバルGAP認証取得とは?
  9. 農業が嫌でたまらなかった……。 “農家の嫁”がキャリアを活かして活躍
  10. 成功する農業! 有機肥料と化成肥料の基本とやり方
 

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.13 / ¥0
2019年10月8日発行

お詫びと訂正

ロクジカチャネル