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「環境こだわり農産物」で琵琶湖保全を! 滋賀県4Hクラブ会長が語る環境に配慮した農業

琵琶湖をはじめ雄大な自然を誇る滋賀県では、特筆すべき農産物が生産されている。化学合成農薬の使用量を通常の半分以下にするなど、環境に配慮して作られた「環境こだわり農産物」だ。「滋賀県4Hクラブ」の会長・吉川祐介さんも、この農産物の生産に携わる1人。

メイン画像:「滋賀県4Hクラブ」の会長・吉川祐介さん

琵琶湖を守るため生まれた
「環境こだわり農産物」

滋賀県には、日本最大の面積をもつ琵琶湖がある。琵琶湖は、京阪神地域で暮らす人々の生活と産業を支えているうえ、湖周辺における生物多様性のよりどころでもある。貴重な資源である琵琶湖の保全をおもな目的に、創出されたのが「環境こだわり農産物」だ。
 
「環境こだわり農産物」は、化学合成農薬や化学肥料の使用量を慣行農業の半分以下にする、田んぼの濁った水が流出するのを防ぐ、といった基準を満たした農産物にだけ与えられる称号。代表的な品種として、近江米の「みずかがみ」、「こしひかり」がある。
 
滋賀県で生まれ育った吉川さんが、「環境こだわり農産物」が生まれた背景についてこう教えてくれた。
  
「1960年代後半より、高度経済成長にともなう琵琶湖の水質悪化が目立つようになりました。1970年代後半には、琵琶湖に赤褐色のプランクトンである『淡水赤潮』と悪臭が発生し、社会問題となったんです。これをきっかけに、粉石けんの使用を呼びかける『石けん運動』が巻き起こり、農業界でも、農薬と肥料を削減する動きが生じました。『環境こだわり農産物』は、こうしたムーブメントに影響を受け、確立されたブランドといえます」
 
長らく環境に配慮した農業が行われてきた滋賀県には、当たり前のこととして農薬や肥料の削減に取り組む農家が多くいるという。
 
「他県の農家さんと話していると、ふだん自分たちが使用している農薬と肥料の量が、圧倒的に少ないことに気がつきます。農薬と肥料の削減は、琵琶湖を保全する取り組みにあたるので、行政からサポートされやすいのも、こうした状況を後押ししていると思います」
 



JAが主催するマルシェに、「滋賀県4Hクラブ」のメンバーと参加。「滋賀県4Hクラブ」では、定期的に勉強会なども行なっているという。



米価の下落に備え、
野菜栽培に注力

大学卒業後、一般企業での勤務を経て、2011年に親元で就農した吉川さん。現在、手がけているおもな作物は水稲で、「環境こだわり農産物」を積極的に栽培している。2019年12月には、こうした取り組みが評価され、「県農林水産功労賞」の「奨励賞」を受賞した。
 
意欲的に日々の業務に取り組んでいる吉川さんは、農業の魅力をこう話す。
 
「自然相手の仕事なので、計画どおりに作業が進まない時はもちろん、想像以上に収量が少ない時もあります。でも、思いどおりにいかないからこそ、楽しいですね。『来年は、肥料を新しいものに変えてみよう』、『新しい農法をもっと勉強してみよう』と、俄然やる気になります」。
 
また、繁忙期はほとんど休みがないものの、日々の作業時間は自身の裁量で決めることができる。
 
「僕の場合ですが、会社員時代に比べてクオリティオブライフが確実に上がりましたね」
 
しかし、現代はコメ離れや人口減少が進んでいる時代。米の需要が減っているため、この数年の間に米の価格が下落する可能性があるという。こうした可能性をふまえ、吉川さんは、数年前よりキャベツをはじめとする野菜の栽培に力を入れている。
 
「水稲のみで営農するのが厳しくなってから、動き出すのでは遅いので。すぐに野菜の栽培に移行できるよう、準備を進めています。米の価格が下がったら、僕は米の栽培をきっぱりと辞めるつもりです」
 
日々の作業にしっかりと向き合いながらも、時代の潮流を読み、将来を見据える吉川さん。ぜひモデルとしたい農家だ。



PROFILE

吉川祐介さん


滋賀県生まれ。大学卒業後、一般企業での営業職などを経て、2011年に親元就農。現在、「環境こだわり農産物」にも認定されたブランド米などを栽培するかたわら、キャベツや玉ねぎなど野菜も手がけている。「滋賀県4Hクラブ」の会長。

※記事中の役職等は取材時のものです。

 

DATA

4Hクラブ(農業青年クラブ)


文:緒方佳子

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