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<体験レポート>水稲のタンパク含有率が一目でわかる?

アグリジャーナル読者の圃場を人工衛星からの撮影画像で徹底解析! 今回は水稲の圃場の診断レポートがどのように活用できるのか、体験中の声をお届け!

水稲のタンパク質含有率がわかって
収穫前に工夫ができる!

前回記事:営農支援サービス「天晴れ」体験プロジェクト始動!


Report<水稲>
体験プロジェクトメンバー

石川県小松市
宮本農産 宮本健一さん


圃場面積18ha。2013年にUターンし、米とイグサの生産販売を行う。
4Hクラブ北陸ブロック世話人。


「天晴れ」とは、人工衛星やドローンで撮影した画像を解析し、農作物の生育状況を示したレポートを発行するサービス。収穫時期や生育ムラをひと目で把握することが可能だ。小麦と大豆、牧草の事例を天晴れのHPで見た宮本さんは、水稲でも生育レポートが見れれば、という思いでこの体験プロジェクトに参加している。

「僕はデータを見るのが好きなんです。客観的に作物のための判断ができますから。天晴れに期待するのは、ずばり水稲のタンパク質含有率マップと、刈取りロスの削減です」(宮本さん)。


宮本さんは圃場によって肥料の種類や施肥回数を変えている。それぞれの生育状況を見るにも天晴れが活用できる。

『コシヒカリ』『ゆめみづほ』など複数品種の米を栽培する宮本農産5代目の宮本さんは、全て適期に刈取るのが目標だ。最初に収穫を迎える『ゆめみづほ』の収穫適期が天晴れのレポートでわかれば、その後の営農スケジュールが立てやすくなり、農作業の効率化が図れる。今回実際に解析された診断レポートを見て、天晴れの精度に確かな手応えを感じたという。


低タンパクを黄緑色で表示。品種ごとで比較できるよう、今後工夫されるという。

「普段なんとなく感じていたことがレポートで可視化され、感覚が裏付けされたという自信になりました。水稲の診断レポートで、同じ品種のなかでもタンパク質含有率の高低がわかれば、収穫前にどの圃場の米をJAさん等への出荷用にするか加工米にするかの工夫ができます。また、うちの圃場は飛び地が多く、収穫の順番に関してはある程度刈取りやすさで決めていましたが、こうしてデータとして〝穂水分率はこの圃場が一番低い〞というのが改めて見えれば、刈取りの順番を変えてみてもいいかもしれません。小麦では燃料コストが約1/3になった事例を聞いていましたから、水稲でも大幅なコスト削減を期待したいです」(宮本さん)。


葉色カラースケール等での従来の適期判断(写真)と比べ、圃場全体の状態が一度にわかるのは空からのレポートならでは。

宮本さんが今後目指すのは、9年の歳月をかけて地域一丸で開発された石川県の新品種米「ひゃくまん穀」の認知・普及拡大だ。
「志の高い生産者さんばかりですから、地域でレポートの情報を共有し、技術の研鑽、評価の向上のために活用していきたいです」(宮本さん)。
8月から始まる刈取りでうまくレポートを活用できるか、結果は次回お届けする。


「天晴れ」公式サイト

国際航業株式会社 営農支援サービスチーム
TEL:03-4476-8069(平日9:30~17:00)


photo: Masaru Nakanishi text: Mikako Wakiya

AGRI JOURNAL vol.08(2018年夏号)より転載

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