成長促進と、UVBでの生理障害・病害虫抑制を可能に!2種類の光源を照射する次世代型LEDとは
2022/12/21
生理障害や病害虫の発生を抑制するUVB-LEDと、成長促進の白色LEDをどちらも搭載した次世代型LED。全国で先駆けて導入を行っている現場を訪ねた。
2種類の異なる光源を搭載
病害抑制・生理障害抑制が可能に
鋼鈑商事株式会社(以下鋼鈑商事)は新たなIPM(総合防除技術)となる紫外線(UV-B)を活用した商品を取り扱っている。今回は成長促進を促す白色LEDに加え、うどんこ病・灰カビ等の病害抑制・生理障害抑制が可能なUVB-LEDの、2種類の異なる光源を搭載した次世代型LEDを開発。
鋼鈑商事、藤田さんは「今後、栽培試験を通じて、幅広いニーズへの対応を目指してまいります」と話す。
今回は全国で先駆けて導入を行っている現場を訪れ、話を聞いた。
閉鎖型設備の環境にて
生理障害を抑える効果を実感
高品質で安定的な苗生産を行うトヨタネ株式会社の磐田ナーセリーでは、今夏から野菜苗の育苗においてハイブリッドUVB-LEDを導入し、実証を行っている。
「 育苗中には、様々な生理障害が発生します。特に接ぎ木をした後、人工光利用の完全閉鎖型設備で苗を養生するのですが、UVBが存在せず、湿度の高い環境下では生理障害が発生しやすくなる為、UVBを照射することでどう低減できるのかを試しています」。導入したばかりでありながらも、すでに下の写真のように目に見える効果が出ており、現在は色々と条件を変えながら実証を重ねている段階だという。
(図左)UVBが存在しない環境に置かれる苗は生理障害が発生してしまう。
(図右)UVB照射と育苗の管理技術を組み合わせることで、生理障害の発生を抑えている。
「今後は、UVBを照射することでの成長促進効果や 苗の高付加価値化の可能性を探っていきたいです。良い条件が揃ったときに、良い苗ができるのは当たり前。条件が悪い中でも良い苗を作るためにはどうしたらいいかを考えて、一歩先の技術を取り入れながら日々生産を行うことで、 地域の生産者の皆様に貢献できればと思います」。
減農薬モデルの確立を目指し
うどんこ病への効果を確認
宮城県 農業・園芸総合研究所では、果菜類の誘引栽培においてハイブリッドUVB-LEDを活用した減農薬モデルの確立を目指し、実証を開始した。
「1作目では、うどんこ病への効果を確認しました。
今、トマトとパプリカで試験をしていますが、今後はキュウリも行います。LEDを吊るす高さや苗の間隔、照射時間など検証を重ねて、5年後に最適な方法を生産者の皆さんにお示しするのが目標です。イチゴで認められているハダニへの効果も見ていきたいですね」(園芸環境部 病害チーム 大河原さん)
(図左)UVB強度の測定を行う
(図右)トマト、パプリカ、キュウリにおいてUVBを照射する実証をスタート。
UVBと生物農薬との組合せで、
うどんこ病・ハダニの発生が大幅減少
「奈良県育成の『古都華』は艶がある品種ですが、農薬で艶が落ちてしまいます。安心安全なイチゴを出荷するためにも農薬は減らしたい」と話すイチゴ生産者の阪野さんは、昨年11月にUVB電球を導入した。
「虫やハダニに天敵で対策したうえで、うどんこ病にUVBを使っていますが、実が成っている間には一切農薬を撒かず生産できました。UVBが当たらない所から病気が出てしまうので、UVB電球にバー型のハイブリッドUVB-LEDを併用して万遍なく照射しています。今後の試験結果次第ですが、 効果が確認出来れば 導入費用の採算も合うのではと考えています」。
DATA
鋼鈑商事株式会社
TEL:03-4531-6883
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