サカタのタネの”推し品種”の野菜は?3年ぶりにリアル開催した商談会をレポート
2023/01/26
コロナ禍の影響を受けて過去2年リアルでの開催ができなかったサカタのタネの商談会『サカタフェア』。2023年は久しぶりのリアルとWebの二本立て=ハイブリッドで開催された。そして2023年はサカタのタネ創業110周年である。どんな商談会だったのだろう?
3年ぶりのリアル開催が復活
サカタの”推し品種”を紹介!
2023年1月11日、パシフィコ横浜で『サカタフェア2023』が開催された。コロナ禍の影響を受けて過去2年はWeb開催のみであったが、今年は3年ぶりにリアルが復活。Webとのハイブリッド開催となり、より時代に即した形にアップデートされた。今年のテーマはリアルが復活したことと掛けて「リアル×サカタ~伝えたい想い~」である。100社を越える資材メーカーの展示ブースが立ち並び、283社から468名が来場した。今回サカタのタネがプッシュしていた”推し品種”の野菜は、トマト、ブロッコリー、一本ネギ(長ネギ)である。
■大玉トマト『かれん』
トマトの”推し品種”は、近年シェアを伸ばしつつある大玉トマト『かれん』。2020年6月に発売された黄化葉巻病に耐病性の赤熟出荷向きのトマトだ。同病害への耐病性を持つ品種の中でも特に食味にこだわって育成され、甘みと酸味のバランスが良い。収穫後半まで 着果性に優れ、安定した収量性と秀品率を実現している。そのうえ果実が硬く、日持ち性にも優れ、同社の赤熟もぎりの統一青果ブランドである『王様トマト』として出荷できる品種でもある。スーパーなどで見掛けたことがある方も少なくないはずだ。
■ブロッコリー『レイトドーム』
続いて紹介された”推し品種”はブロッコリーの『レイトドーム』。2021年6月に発売された形状安定性、収穫作業性に優れる2~3月収穫用のブロッコリー品種である。播種後約180日で収穫する晩生品種でありながら高品質なブロッコリーを出荷できると高く評価されている。そのうえ、花蕾の位置が高いため収穫時に必要以上にかがむ必要がない、収穫時に切りやすい、生育の揃いが良く収穫作業性に優れる、という特徴があることから、生産現場の労力削減に寄与すると評判でもある。
(作期ではないため実物の展示なし)
■一本ネギ(長ネギ)『夏扇タフナー』
3つ目の”推し品種”は一本ネギ(長ネギ)の『夏扇タフナー』。2018年11月から販売されているF1品種であり、耐暑性に優れ、夏越しに強いのが特徴だ。ご存知の通り近年は気候変動の影響から、秋~冬どり一本ネギは夏期の高温・乾燥のほか豪雨や台風による湿害の影響などから欠株率が上昇し、収量性が低下しやすい。『夏扇タフナー』は根量が多く、根張りが強く、さらに耐湿性があるため、欠株が起こりにくい。だから歩留まりが良く、安定して収穫できる。
■農園芸肥料シリーズ『サカタマモル』
写真出典:サカタのタネ プレスリリース
最後に紹介されたのは資材。これまで『高機能液肥』シリーズとして販売されていた製品群が新たに『サカタマモル』シリーズへと改称された。既存の『高機能液肥』シリーズは植物の健やかな生育をサポートする製品群として評価されていたが、新たに『サカタマモル』シリーズとされ、より各製品の機能や効果が分かりやすくなった。新パッケージの前面が象徴的だが、商品の機能や効果が分かりやすく記載されたシンプルなデザインとなった。
また『サカタマモル』シリーズのウェブサイトでは、農業生産者の悩みである「高温」・「曇天」・「微量要素欠乏症」といったキーワードごとに商品を確認できるようになった。これでシリーズに興味を持ったばかりの、あるいは初めて使う農業生産者でも選びやすくなった。『サカタマモル』シリーズにラインアップされる商品は『アラフェスタ』、『サカタ液肥GB』、『バリカタ!』、『鉄力あくあF14』、『ネイチャーエイド』、『ホストップ』、『ホスカル」、『ホスマグ』の全8商品。
創業110周年を迎えたサカタのタネ
歩みとロゴマークに込めた想い
冒頭でも記したように、サカタのタネは創業110周年を迎える。それに合わせてサカタのタネは110周年記念ロゴマークを制定した。
創業から現在に至るまで、常に変わらないのがサカタのタネのDNAである「タネにかける情熱」。花や野菜のタネの開発を通じて人々の生活文化向上に貢献するという思いを「一粒のタネ(苗)」と「110」で表現した。そこには、創業の精神を忘れず、感謝とともに110周年を迎え、さらに未来に向けて伸びて行く、という「伝えたい想い」が込められている。
メディア向け発表会では、代表取締役社長の坂田宏氏が、110周年を迎えたことに対する謝辞やイベント概要のほか、サカタのタネの現在と未来について以下のように語った。
「弊社は創業以来、種苗を通じて社会に貢献するため、新品種の開発と、その高品質種子の安定供給を使命としてきました。これまで優良な種苗を提供することで自然環境や社会の持続性に貢献して参りましたが、それを『サステナビリティ経営』と位置づけ、今後も継続しさらに加速すべく、2022年8月にサステナビリティ基本方針を定めました。私たちは経営理念として、顧客、取引先、当社が共に栄える『三者共栄』、従業員、経営者、株主が相互に繁栄する『三位一体』を掲げて参りましたが、地球上の自然と、その自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業が持続的に共生する『三層共生』を掲げています。社業である種苗事業や緑花事業を通じて社会や農園芸業に貢献し、社内外のステークホルダーが共に発展するサステナビリティ経営を目指します」
今回説明されたサカタの”推し品種”はどれも、サカタのタネが説明する『サステナビリティ経営』に則った製品であることが分かる。110周年記念ロゴが表現する「花や野菜のタネの開発を通じて人々の生活文化向上に貢献する」という想いが伝わってくる。
DATA
取材/文:川島礼二郎