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DIYで自分好みに。低コストな環境制御システム「アルスプラウト」の活用テクを拝見!

アルスプラウトは、プラモデルを組み立てる感覚で手作りする環境制御システム。自由度が高く、必要に応じてセンサなどを追加可能だ。今回は 「株式会社エーゼログループ」、宇高秀和さんの制御内容を拝見!

<目次>
1.自由にカスタム! 環境制御システム「アルスプラウト」
2.基本の環境測定
3.宇高さんこだわりの環境測定!
4.こだわりのハウス内制御をチェック!

 

自由にカスタム!
環境制御システム「アルスプラウト」

「納得のいく品質のイチゴを作るため、ハウス内の環境整備にこだわりを持って取り組んでいます。基本的な環境測定や制御ができるだけでなく、自分好みのセンサなども取り付けられるアルスプラウトは、僕にとって理想的な環境制御システムです。
こう語るのは、株式会社エーゼログループでイチゴ栽培を担当する宇高秀和さんだ。


宇高秀和さん。トマト専門の農業生産法人で勤務した後の2020 年、株式会社エーゼログループに参画。入社当初よりイチゴの生産・販売 事業の立ち上げに携わり、テストハウスの自作などを行う。

敷地内には2棟のハウス(合計30a)があり、それぞれの中央部には、内部の環境をモニタリングする内気象ノードが設置されている。また、ハウスの外には、屋外環境を測定する簡易外気象センサも。これらを通し、ハウス内の温度や湿度から、屋外の風向きや雨量に至るまで、幅広い環境を測定できる。さらには、内気象ノードと簡易外気象センサから得られたデータを基に、制御ノードが指令を出し、ハウスに設置されている加温機や窓、カーテンなどが自動で動く。「株式会社エーゼログループ」のハウスでは、人を介さずとも、イチゴにとって最適な環境が保たれるのだ。


専用ソフト「Arsprout Pi」より、各種計測結果が閲覧できるほか、警報機能や制御内容を設定できる。

しかし、予想外の天候やトラブルにより、順調な生育が脅かされる場合もある。「例えば夜中に大雪が降った場合、積もった雪の重さでハウスが潰れる可能性があります。あるいは、井戸水が枯れてイチゴへの灌水が止まる場合も。そうしたトラブルで、イチゴの品質が大幅に落ちるのを防ぎたいと思いました」と、宇高さん。
こうした考えから宇高さんは、降雪センサと水位センサを追加でアルスプラウトに繋げた。「このように適宜、必要な機器を 追加できるのも、アルスプラウトの魅力。ハウス内の環境を思い通りに制御できるのに、コストが安い点も気に入っています。ちなみに導入後は、さまざまな要因はありますが、イチゴの収量が1.4倍になりました」。

 

基本の環境測定


宇高さんが組み立てた内気象ノード。筒のなかには温湿度センサが入っている。また、培土には土壌センサが差し込まれている。
 
測定内容一覧

アルスプラウトの基礎となるのが、この内気象ノード。内気象ノードをハウス内に設置することで、ハウス内の環境や土壌の状態を測定できる。なお、内気象ノードに接続可能なセンサは全部で6種類あり、その中から自由に選べる。※オプション外のセンサ接続は動作保証外となります。

宇高さんこだわりの
環境測定!


①簡易外気象センサで、屋外の温度や湿度などを計測できる。アルスプラウトにはオプション外のセンサも設置可能なため、降雪センサも追加。
 

②井戸水が枯れ、灌水が止まるのを防ぐため、水タンク内部に水位センサを設置し、渇水時は警報が飛ぶようにした。
 

③ハウス内の数カ所に温度センサを設置し、温度差が生じた際に、循環扇が回る設定を施している。

 

こだわりの
ハウス内制御をチェック!


ハウス内の基本的な設備は、加温機、CO2発生装置、灌水装置など。いずれも、内気象ノードと簡易外気象センサから得られた計測結果に応じて自動的に運転、もしくは開閉する。


①イチゴ栽培には多様な機器が必要なため、制御する項目も多くなる。ハウス1棟に対して2台の制御盤を設置。
 

②簡易外気象センサや日射センサでの計測結果から「Arsprout Pi」が天候を判定。天候とハウス内の換気状態に応じてCO2発生装置が作動し、濃度を調整。
 

③降雪センサが雪を感知すると、自動的に加温機がオンに。ハウス内の温度が上がり、雪が積もるのを防げる。
 

④夜になると自動的にカーテンが閉まり、ハウス内が保温される。なお降雪時は、ハウスに積もった雪を溶かすためカーテンが開き、ハウスの上部が温められる。

 

取材協力

株式会社エーゼログループ


2009年より岡山県の北東端に位置する西粟倉村にて、主に木材製造業を営む。昨年3月にオープンした複合施設「BASE 101% -NISHIAWAKURA-」では、カフェやイチゴ摘み体験などを展開。イチゴの試食と摘み取りが楽しめるイチゴ摘み体験は、毎年1~5月に開催。


培土には、木材を加工する工程で生じた木くずやおが粉、樹皮を混合したものを使用。

 


「BASE 101% -NISHIAWAKURA-」のカフェの外観。

 


カフェでは、施設内のハウスで栽培されたイチゴを使ったスイーツも。

 

問い合わせ

株式会社サカタのタネ
TEL:045-945-8806


写真/松尾夏樹 文/緒方佳子


Sponsored by 株式会社サカタのタネ

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