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ハチの減少を食い止め保護に繋げる! 世界中に住処を増やすオープンソースプロジェクト

現在、世界全体で2万種以上のハチが生息している。ところが、近年の気候や農業環境などにより、個体数が減少している。そんなハチたちを守り、より多くの生態系をグローバル規模で保護しようという試みがスウェーデンで行われている。

単生バチやハチを取り巻く
生態系の保護につなげる

「ビー・ホーム」とは、スウェーデン発の家具量販店イケアの専門研究機関「スペース10」が創設したオープンソースデザインプロジェクトである。群居しない単生バチの生態に基づいて独自の巣箱を設計し、その設計データをオープンソースとして公開。誰でも自由にこのデータを用いて巣箱を制作でき、庭や屋上などに設置することで、単生バチとこれを取り巻く生態系の保護につなげるのが狙いだ。
 
この巣箱は、設置場所に合わせて大きさや高さなどを設定したうえで設計データをダウンロードし、このデータをもとにCNCルーターで木材を切断して、パーツを組み合わせていく仕組み。設計データを編集してデザインをカスタマイズすることも可能だ。組み立てには日本の指物の技法が応用されており、釘などを一切必要とせず、リサイクルしやすい構造となっている。
 

 
現在、世界全体で2万種以上のハチが生息し、農作物を含め、約90%の植物の花粉を媒介している。とりわけ単生バチはミツバチの120倍の受粉効率を持つ優れた受粉媒介者であり、温厚で人間に危害を加えることもない。しかし近年、気候変動や干ばつ、農薬散布などの要因により、ハチの個体数は減少している。
 
「ビー・ホーム」は、誰もがどこからでも自由に参加でき、単生バチの住処を世界中に増やすことで、ハチたちを守り、より多くの植物の受粉の媒介を支え、私たちの生態系をグローバル規模で保護しようという試みだ。

©Irina Boersma




AGRI JOURNAL vol.16(2020年夏号)より転載

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