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消費者と直接繋がるDTCが農業界でもスタート! 新しい地産地消のカタチ

DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー:消費者向け直販)という言葉を知っているだろうか。小売店を通さず、自社製品を消費者に直接届ける販売方法だ。近年、海外では、DTCが食の業界でも導入されつつある。この新トレンドについて、詳しく見てみよう。

植物工場で栽培した葉野菜を
消費者に直販

自社のECサイトやSNSの公式アカウントを通じて消費者とオンラインで接点を持ち、独自の商品を消費者に直接販売するDTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー:消費者向け直販)モデルは、近年、アパレル、家具、日用品など、様々な分野で広がり、食の領域でも応用されはじめている。
 


フィフス・シーズンの植物工場で葉野菜が栽培されている様子 Copyright 2020 Fifth Season

 


フィフス・シーズンのECサイトで販売されているミックスサラダ Copyright 2020 Fifth Season

 
垂直農業と人工知能(AI)、ロボット工学を組み合わせた閉鎖型植物工場を運営する米国のスタートアップ企業「フィフス・シーズン」は、2020年6月、ピッツバーグ市郊外のブラドックで6万平方フィート(約5574平方メートル)の新たな植物工場の稼働を開始するとともに、自社のECサイトを開設。
 
ピッツバーグエリアに居住する一般消費者を対象に、この植物工場で栽培する葉野菜の販売を開始した。ECサイトで注文すると、ミックスサラダやほうれん草など、植物工場で収穫されたばかりの新鮮な葉野菜が自宅に届く。
 

水耕栽培について学ぶ
オンライン講座も実施

ニューヨークのスタートアップ企業「ファーム・ドット・ワン」では、2016年から自社の垂直農場でハーブや食用花など、市場にほとんど出回らない希少な食材を水耕栽培し、地元の一流レストランに供給しているほか、ニューヨーク市マンハッタンとブルックリンを対象エリアとし、自社のECサイトを通じて一般消費者にも販売している。
 


ファーム・ドット・ワンのECサイトで販売されている商品 ©Farm.One,Inc.2020

 
ECサイトでは、ブロッコリースプラウト、カラシナといった葉野菜や食用花を販売するとともに、水耕栽培の仕組みやプロセスを基礎から学べる独自のオンライン講座なども開講。
 
食や農業に関心を持つ一般消費者に向けて、知識の共有にも積極的に取り組んでいる。
 



 

ニーズに合わせて
食材をパーソナライズ

消費者それぞれの好みやニーズに合わせてパーソナライズ(個別化)した食材をDTCモデルで提供しているのが、カリフォルニア州シリコンバレーのスタートアップ企業「ウィロ」だ。
 
2020年6月、シリコンバレーにある自社の植物工場から20マイル(約32キロ)圏内を対象エリアとして、一般消費者向けに定期購入型サービスを開始した。
 
月額利用料99ドル(約1万500円)を支払うと植物工場内の専用スペースが割り当てられ、消費者は、ケールや水菜、バジル、豆苗などのラインナップから栽培してほしいものを指定。
 
葉野菜は、温度や湿度、光、pHなどが常時制御された環境のもとで水耕栽培され、収穫後、サラダに加工されて、月2回、消費者に届けられる仕組みとなっている。
 
「ウィロ」では、今後、葉野菜以外のラインナップを増やすとともに、今後2年間で、ロサンゼルスやニューヨーク、ワシントンD.C.など、米国の他の都市にも植物工場を建設し、このサービスを展開していく方針だ。
 



 

新しい地産地消の
仕組みとして注目

米国では、消費者の健康志向が強まり、季節問わず、新鮮な野菜を安定的に購入したいとのニーズは高まっている。
 
また、ECサイトで食料品を購入する消費者が増えており、2020年には米国のインターネットユーザーの52.9%が食料品の購入にECサイトを利用すると予測されている。
 
DTCモデルは、卸売業者や小売業者が介在しないため、サプライチェーンを簡素化できるのが利点だ。郊外の植物工場で収穫したばかりの新鮮な野菜を都市居住者により早く届けられる、新たな地産地消の仕組みとして、注目されている。
 

DATA

フィフスシーズン
ファームドットワン


文:松岡由希子

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