リジェネラティブ農業支援特化型! 米ノンバンクによるサポートで事業拡大
2022/01/12
気候変動をはじめとする環境問題のソリューションとして注目される「リジェネラティブ農業」。地球環境保全のため、長く続く農業事業のため、農業生産者にひらかれた融資とはどんなものだろうか。アメリカの事例をみてみよう。
▶▶ 気候変動対策につながる『リジェネラティブ農業』とは? 進む再生型農業・海外3事例
融資と専門的なサポートで
リジェネラティブ農業を支援
アメリカ・ポートランドで2017年に創設されたスチュワード社は、リジェネラティブ農業向け融資に特化したノンバンクだ。2021年12月時点で62の農業プロジェクトを対象に計800万ドル(約9億円)以上を融資している。
スチュワードから融資を受けたデトロイトのフィッシュアイ・ファームズ クレジット
© 2021 Steward Technologies LLC.
スチュワード社は、リジェネラティブ農業を実践する農家や酪農家、畜産家らに必要な資金を柔軟に融資するとともに、専門的な助言やサポートサービスを提供し、持続可能な事業成長を支援してきた。
これまでに、農地の購入、温室や加工場の拡張、防護柵や生乳加工設備、給飼機、キノコ栽培システムなどへの設備投資、直売スタンドの設置を使途とした融資を実行。デトロイトで都市型農業を営むフィッシュアイ・ファームズでは、スチュワード社の融資により事業規模が10倍に拡大している。
2021年夏からは、リジェネラティブ農業を実践する米国の農家に向けて短期に限定したブリッジローン(つなぎ融資)を提供する「スチュワード・リジェネラティブ・キャピタル」を運用している。一般の貸手は9ヶ月の短期で最低100ドル(約1万300円)から資金を貸し出し、年換算利回り4.5%の固定金利で毎月返済を受ける一方、スチュワード社はこれを用いて緊急に資金を必要とする農家に融資する仕組みだ。
開始から3カ月で当初の目標額300万ドル(約3億3900万円)を達成し、農場の拡張や直売所の改修、採卵鶏設備の拡充などへの融資を実行した。現在、600万ドル(約6億7800万円)を目指し、貸手を募っている。
文/松岡由希子