【調査】猛暑などの影響で約6割の生産者が収穫量減。暑さに強い新品種の導入など気候変動対策を実施
2025/07/15

株式会社ビビッドガーデンは、年々深刻さを増す気候変動の一次産業への影響について調査を実施した。調査によると、多くの生産者が気候変動の打撃を受ける一方、工夫や対策をしながら生産活動を続けていることがわかった。
気候変動の影響で
58%が「収穫量が減少」と回答
日本最大の産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンは、全国の生産者に対し、年々深刻さを増す気候変動の一次産業への影響について調査を実施した。
調査では、気候変動の影響として58%が「収穫量が減少した」、29.6%が「規格外品が増えている」と回答した。一方で66.2%は独自の対策を講じており、特に「暑さを和らげる工夫」が46.5%、次いで「暑さや害虫に強い新品種に注力する」が39.3%となり、猛暑の中においても工夫や対策をしながら生産活動を続けている実態がわかったという。
食べチョクでは生産現場の実状をうけて、暑さに強くておいしい次世代新品種特集ページ、規格外品特集ページ、過去の気候変動と生産現場の声をまとめたページを公開している。また、日本最大の産直通販サイトとして、引き続き環境や災害に関する生産現場の実情を伝え、生産者・消費者と共に持続可能な生産活動を考えるきっかけを提供していく予定だという。
以下、株式会社ビビッドガーデンのプレスリリースより
生産者に行った気候変動や環境の変化に関する
実態調査の結果サマリー調査概要
調査対象:食べチョクに登録している全国の生産者
調査期間:2025年6月20日(金)~6月30日(月)
調査方法:インターネットによる任意回答
回答人数:331人
98.5%の生産者が気候や環境の変化を実感。猛暑、豪雨、季節のずれなど多様な変化を実感
気候や環境の変化を感じている生産者は、98.5%に上りました。内84%が「変化を強く感じる」と回答しました。
生産現場で感じている気候や環境の変化の内容については、96.7%が「猛暑」、次いで66.5%が「豪雨」と回答。50.5%が「季節がずれている」、44.1%が「気温の変動(乱高下)」を感じていました。またカメムシなどの「害虫の被害(43.2%)」や、「干ばつ・降水量の少なさ(39%)」や「梅雨が短い(25.7%)」といった水不足に関する回答も見られました。
気候変動の影響は、58%が「収穫量減」、29.6%が「規格外品増」。
気候変動や猛暑による影響について、58%の生産者が「収穫量/漁獲量が減った」と回答しました。また29.5%が「規格外品(大きさや見た目を理由に一般流通に出せないが、品質や日持ちに問題ないもの)が増えた」、25.7%が「訳あり品(市場流通に出せず、品質や日持ちが劣るもの)」が増えたと回答しました。異常気象により、収量だけでなく品質にも影響が及んでおり、食品ロスが増えている実態が浮き彫りになりました。
7割が昨年の収穫量が例年以下。約6割が原因は「気候変動による影響が多い」と回答。
2024年の収穫状況について例年以下と回答する生産者は、69.8%となった。30.2%が「十分に収穫できなかった」、39.6%が「十分に収穫できない品目/品種があった」と回答しました。
2024年の収穫量の増減の要因について、39.9%が「気候変動の影響が多い」と回答し、16.9%は「全て気候変動による影響」だと回答しました。
66.2%の生産者が「対策を実施している」と回答。
気候変動や環境の変化への対策状況について、66.2%の生産者が「対策を検討し、実行している」と回答しました。一方で14.5%は「対策を検討しているが、まだ実施できていない」、16.3%が「対策したいが、検討できていない」と回答しており、約3人に1人は、対策の必要性を感じつつも対策に踏み切れていないことが分かりました。
対策内容は、46.5%が「気温の変化を和らげる工夫」、39.3%が「品種変更」。
46.5%の生産者が「気温の変化を和らげるために、遮光性の高いマルチシートを敷いたり、日陰をつくるなどの工夫をしている」と回答しました。次いで39.3%の生産者が「暑さや害虫に強い品種に変更している」と回答しました。
気候変動に強い新品種の紹介
・米 「にじのきらめき」
高温・病害への耐性が高く、大粒で甘みが強い品種。虹のきらめきのように多様な特性を持ち、ご飯の炊き上がりが艶やかであることから命名されました。大粒で食感が良く、強い甘味が特徴。濃いめの料理との相性が良く、冷めてもおいしく弁当やおにぎり向き。
・さくらんぼ 「紅秀峰」
佐藤錦より高温に強く、糖度が高く日持ちが良い品種。暑い気候でも果実がしっかりと育つため、暑さによって果肉が柔らかくなることが少なく、品質を保ちやすい。
・とうもろこし 「ゴールドラッシュ」
暑さに強い品種。根張りが強いため強風でも倒れにくく、土壌からの水分吸収能力が高いため乾燥した環境でも生育が可能。皮が柔らかくジューシーで噛んだ瞬間にクリーミーな味わいが広がるのが特徴。
気候変動に強い品種を紹介して消費者にも選択肢を提示することで、生産者の挑戦を後押しします。
気候変動や環境の変化に対する生産者の声
<農作物について挙げられたコメント>
・暑い日が多くなり、雨も降らないことが多く、野菜が枯れたり、変形したりなど、安定的な収穫が難しくなっている(青森県・野菜・生産歴5年以上)
・昨年で完全に春秋が消滅した印象。畑においては夏と冬しかない(大分県・野菜&生産歴15年以上)
・暑さに強い水稲の品種虹のきらめきを試している(熊本県・米・生産歴5年以上)
・ハウス内の温度が上がりすぎるので、遮光ネットなどを使った対策が必要。また雨が降らない時期が長く続く時があり、かん水に走り回ることが増えてきた(長野県・果物・生産歴5年以上)
<水産物について挙げられたコメント>
・海水温の上昇により、磯焼けがすすみ、昆布が減っている。また、それに伴い、それを食べるウニも減っている。バフンウニは高温に弱いため、死んでいる(北海道・魚介類・生産歴5年以上)
・養殖いかだの間隔を開ける。種はさみの時期をずらす。収穫時期をずらす。(宮城県・魚介類・生産歴25年以上)
<畜産物について挙げられたコメント>
・特に受胎率の低下が顕著で、出荷頭数が半分程度になる(鹿児島県・畜産・生産歴25年以上)
・本州の夏が暑すぎて、本州では蜂が飼いづらい現状。このまま気温が高い時期が長くなれば、良い蜂を本州では飼えなくなると思います。(和歌山県・はちみつ・生産歴15年以上)
・食べチョクの気候変動に関する取り組みについて
暑さに強くておいしい次世代品種特集ページを公開
気候変動による暑さや害虫に強い新品種の開発が進んでいます。新品種に植え替えることで、気候変動にも負けない持続可能な栽培に挑む生産者さんが増えています。新しくて美味しい品種の魅力を伝える特集ページを作成しました。
規格外品特集ページ
味は変わらないにもかかわらず、見た目やサイズが基準を外れただけで市場に出せない規格外品を、食べチョクで購入できる規格外品特集ページを公開しています。規格外品の購入は、食品ロス削減にもつながります。
生産者のインタビューをまとめた特集ページ
お読みいただけるようにまとめた特集ページ「地球の異変 〜生産現場から届く声〜」を公開しました。今後も追加をしていく予定です。
食べチョクでは、気候変動に立ち向かうリアルな声を「生産現場から」「地球から」シリーズで発信してきました。ひとまとめにしたページを公開しました。
引用:株式会社ビビッドガーデン、猛暑などの影響で約6割の生産者が収穫量減、規格外品が増加も。暑さに強い新品種の導入など気候変動対策を実施。