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人材不足の解決はどうしてる? コロナ禍の農業現場

コロナ禍において、農業現場における課題はどのように変化しているのか? 今回は人手不足に対する現状と、活用できる製品についてピックアップ。

コロナ禍での農業現場
<人材不足解消編>

新型コロナウイルス感染拡大により、農業現場では大きな影響が続く。
緊急事態宣言が全国に発令された時期の2020年4月、全国農業青年クラブ連結協議会(4Hクラブ)がクラブ員に向けて行った調査では、有効回答数560人のうち、約半数の301人が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていると回答。内容としては、取引先の影響(休校やイベント自粛、取引先の客減など)が184名と最も多いが、ついで人手不足についての影響を受けたという回答が32名となっていた。

 
慢性的な労働力不足があるなかで、支えとなっていた外国人技能実習生が海外から日本に入って来れず、受け入れができなくなってしまったことに加え、外出自粛や休校、休園によるパート減などが影響していたようだ。

調査から1年が経とうとしているが、人手不足を賄うために、各地の農家ではどのような対応を行っているのか。

アグリジャーナル読者へのアンケートおよびコメント取材では、「地元の就労支援施設に相談し、まずは体験というかたちで来ていただき、その後双方が同意すればバイトに来ていただいています」「農協からの人材斡旋を検討中(即戦力でかつ地域にも慣れた人材)」「耕うんは大型機械を持っているオペレーターに支払って頼んでいる」といった声が寄せられた。

一方、「外国人実習生の受け入れが出来なくなったが、日本人の求職者が多く来ている」「人手不足とは逆で、飲食店やスーパーを辞めた人からの応募がたくさんある」「求人広告からの問い合わせや、近所のママ友から仕事を紹介してほしいという話が多数きた」という声もあった。働く場を失った観光業などの人たちに副業として農業の現場で働いてもらう仕組みの活用や、単純作業などで人手が欲しい際には、シェアグリタイミートラベルおてつたびなど、「マッチングサービス」の活用も増えているようだ。企業のテレワーク導入によって地方への移住や副業へのニーズが高まってきていることもあり、コロナ禍以降も必要な時期だけ人手を集めることができるこうしたマッチングサービスは、注目しておきたいところだろう。

また、作業にかかる人数を減らす、ハード面での効率化の工夫も重要だ。経営継続補助金などを活用して導入したものとしては、「自動選果機」「遠隔水位監視システム」「農薬散布用ドローン」「乗用草刈り機」「ハイクリブーム」「畝立てマルチャー」など、様々なものが挙がった。

人手不足においても、機器やサービスの導入によって解決できることがある。負担の大きい作業を見直し、自社にあった改善策を見つけてみよう。
 

少人数でも現場を回せる!
作業効率化アイテム

AGRI EXPO ONLINE出展製品から、人手不足を補う製品・サービスをピックアップして紹介!

農業未経験人材への作業サポートにも最適!


農作業の付きものともいえる「長時間の中腰作業」。積み重なる腰への負担で腰痛が悩みの種、という方も多いところ。マッスルスーツEvery(エブリィ)は、中腰姿勢での作業を空気圧による『人工筋肉』の力でしっかりアシスト。電気不使用だから時間制限なく野外や雨天でも大活躍する。さらに100万円を超えるのが常識だった価格も、量産化により驚きの10万円台での提供を実現。土耕栽培のイチゴや米の籾摺り、白菜、さつまいもなど中腰作業が多い幅広い作物で活用されている。

コロナ禍の農業現場では、外国人技能実習生が受け入れできない分、増えてしまった作業への負担軽減や、副業やマッチングサービスと通じた作業に慣れていない方へのアシストという観点で利用もすすんでいる。このような理由から、経営継続補助金などを活用して導入されているケースも多い。

DATA

株式会社イノフィス
マッスルスーツEvery
 

除草作業・農薬散布など各種作業をプロが代行!


除草剤など農薬の販売を手掛ける西日本グリーン販売が、忙しい農家の代わり除草作業・農薬散布・施肥作業など各種作業を年間通して代行する作業請負サービス。農薬安全コンサルタントが防除をサポートし農作物の品質向上を目指す。またドローン農薬散布では周辺環境に配慮しつつ、1反当たりの散布時間を4時間から30分に短縮。人手不足で除草や農薬散布にかける時間を減らしたいという農家のニーズに応えてくれる。

DATA

西日本グリーン販売
営農らくちんサービス
 

1時間当たり120~280株の分離作業が可能に


親芋から子芋・孫芋を分離する機械。掘り起こした里芋を本機にセットし、ハンドルを押し下げると、テコの原理で押抜金具が親芋を押し、子芋・孫芋を大まかに分離。分離した芋は、選別枠の傾斜に沿って下方へ送られ、そのままコンテナに入るという仕組みだ。圃場や屋内など作業場所に合わせて移動でき、作業しやすいよう本機の高さ調節なども可能。手動式で簡単操作、一人での作業もできる。

DATA

みのる産業
さといも分離機
 

2時間の積み下ろし作業が15分に!


農作物や農業資材を手積み、手降ろしした場合、大型トラック1車あたり2時間ほどかかるが、パレットを利用すると、作業時間を15分程度に抑えられ、市場や卸売拠点までパレットのまま納品が可能(空いたパレットは、日本パレットレンタルが回収)。農業資材1出荷あたり800円/枚(一部適用条件あり)、青果物輸送には、利用条件に応じさらに低価格での提供が可能だという。

DATA

日本パレットレンタル
レンタルパレット ワンウェイ乗り捨てサービス
 

1時間当たり120~280株の分離作業が可能に


様々な機材をアタッチメントで搭載可能なFARBOT多用途モデル。農薬散布やブロワーなどの背負い機械がリモコンEVロボットに。自律走行機能(オプション)で自動作業でさらに快適な農場運営が行える。もちろん運搬ロボットとしても活用可能。FARBOTの基本機能を最大限に生かせるマルチユースEVロボットだ。

※販売は機体のみ。画像は参考にブロワーを搭載。

DATA

銀座農園
FARBOT BASIC 4WD
 

日々の農作業の効率化は、コロナ後も重要な課題となる。自社の作業を見直して、製品・サービスの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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