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「生分解性」なら水と二酸化炭素に分解される! 生分解性マルチ&生分解性ポットに注目

生分解性素材は使用後に水と二酸化炭素とに分解される。これを農業資材に活用することで、環境負荷を下げ、労働時間を削減することができる。ここでは、生分解性素材を活用した注目資材を紹介する。

<目次>
1.作業効率化を図る土壌消毒用「ビオフレックスマルチGM」
2.分解速度の異なる2種類「カエルーチ」シリーズ
3.生分解性ポットで狙ったタイミングで分解!「ひっぱりくん」で知られる日本甜菜製糖の挑戦


作業効率化を図る
土壌消毒用「ビオフレックスマルチGM」


SDGsという言葉が登場する遥か前、2005年に生分解性マルチ「ビオフレックスマルチ」の販売を開始して業界をリードする老舗のアキレス。2023年秋には保湿力を高めつつバイオマスマークを取得して、より高機能かつ環境に配慮した製品へと進化させた「ビオフレックスマルチプラス」を発売した。

そのアキレスが今春、業界初となるこんにゃく芋栽培の土壌消毒用に特化した生分解性マルチ「ビオフレックスマルチGM」を発売した。

こんにゃく芋の栽培では、土壌消毒が欠かせない。これまではポリフィルムを使用していたが、土壌消毒後に大量の廃棄物が出てしまう。そこでアキレスが開発したのがこんにゃく芋の栽培カレンダーに適した生分解性を持つ土壌消毒用生分解性マルチフィルム「ビオフレックスマルチGM」。こんにゃく芋の土壌消毒用フィルムに合わせて、使用期間を短く(分解速度を早めに)設定した。

もちろんクロルピクリンガス透過性は、既存のポリフィルムと同等である。また、日本バイオプラスチック協会が認証する「生分解性バイオマスプラ」マークを取得済み(登録No.1339であるから、環境に配慮した製品である。

こんにゃく芋を大規模で栽培している農業生産者・産地にとって、「ビオフレックスマルチGM」は魅力的な製品に違いない。

DATA

アキレス株式会社「ビオフレックスマルチGM(こんにゃく芋向け)」
 



 

分解速度の異なる2種類
「カエルーチ」シリーズ


農業生産者からみたとき、生分解性マルチの重要な性能の一つが分解速度だろう。そこでMKVアドバンスは、平均的な分解速度をもつ「カエルーチ」と、より緩やかに分解が進む「カエルーチL」という、分解速度の異なる2つの製品をラインナップして、多様なユーザーニーズに対応している。

2製品の使用例について、MKVアドバンス農業資材営業部の小芝義徳さんは「たとえば、『カエルーチ』と相性が良い代表的な作物はスイートコーンです。根が張るのでポリマルチでは剥ぎ取り作業が大変ですが、『カエルーチ』を使用することで、この重労働から解放されます。分解が緩やかに進む『カエルーチL』は、在圃期間が長いサトイモや、高単価で販売できる枝豆での使用が増えています」と説明してくれた。

また小芝さんは、生分解性マルチを現場でどのように使うかについては、農業生産者の技術力や創意工夫に期待している、と話す。
「ブロッコリー栽培では水を制限することで甘さが増すのですが、生分解性マルチの保水力が高くない性質を逆手に取って『カエルーチ』を使用して、高品質化させているお客様がいらっしゃいます」という。

生分解性マルチのメリットとしては、環境負荷を下げる剥ぎ取り作業が不要だから労働が減る、の2点が知られているが、使い方を工夫することで作物の高品質化にも貢献できる。腕に自信のある方は是非、新たな使用方法の開発に挑戦してほしい。

DATA

MKVアドバンス株式会社「カエルーチ」シリーズ
 

生分解性ポットで狙ったタイミングで分解!
「ひっぱりくん」で知られる日本甜菜製糖の挑戦

2024年3月に農研機構が主催したシンポジウム「野菜の生産に使う生分解資材~使い終わったら酵素処理ですぐに分解~」の企業展示スペースに、唯一、やや毛色の違う製品が展示されていた。日本甜菜製糖が試作した「生分解性プラポット」だ。日本甜菜製糖は、ネギ栽培で広く使われている、あの「ひっぱりくん」のメーカーであり、紙製のポットである「ペーパーポット」も製造・販売している。今回なぜ、生分解性素材を使った「生分解性プラポット」を試作したのだろうか? 日本甜菜製糖総合研究所の中川卓也主任研究員が教えてくれた。

「弊社が製造・販売している『ペーパーポット』は紙製のため、通気性や水の浸透性に優れており、苗の栽培管理がしやすく、また紙が根鉢を保護した状態で移植可能というメリットがあります。ところが、紙製のため育苗期間中にポットの分解が進んでしまうと、移植するときに紙がボロボロになり、植えづらくなってしまうという問題があります。その問題を解決するために弊社では、化学繊維を混抄したり、微生物の繁殖を抑制する方法を施すことで、育苗中の分解に耐えうるペーパーポット原紙を開発してきました。しかし、育苗中の紙の分解の抑制と移植後の紙の分解はトレードオフの関係にあるため、この調整は非常に難しいものでした。

一方で、育苗中はほとんど分解せず、移植後に何かのスイッチのようなもので分解させることが可能になれば、上記のような問題が解決できるのではないかと考えました。そこで色々と探索して見つけたのが、生分解性プラスチックとそれを特異的に分解する酵素です。この技術をペーパーポットに応用すれば、分解をコントロールできる育苗ポットができると考えました」。

生分解性プラスチックを特異的に分解する酵素とは、農研機構を中心としたコンソーシアムが開発しているもの(※)。使用後の生分解性プラスチックに酵素を散布することで分解のスイッチをオンにして、分解を進めることができる。

「『生分解性プラポット』であれば、育苗中は分解せずに一定の強度を保ち、移植前に酵素処理を施すことで、移植後の圃場で速やかに分解させることが可能になります。弊社の『ペーパーポット』製造技術を活かすために紙をベースとして、そこに生分解性プラスチックをラミネートすることで、『ペーパーポット』を製造できかつ生分解性プラスチックの機能を合わせ持つ『生分解性プラポット』の作製に成功しました」。

展示していた「生分解性プラポット」は口径が約6cm(六角形)で高さが7~15cm。これまでに果菜類(トマト、ナス、ピーマン)、花卉、葉菜などで試験を実施しており、充分に市販に耐え得る機能を有しているという。
「今後、様々な場面(学会や展示会)でPRする予定で、反響をみて市販化を考えて行きます」と将来展望を語ってくれた。

分解酵素の大量生産の実現が、「生分解性プラポット」市販化のカギを握るのかも知れない。今後の動向をウォッチしていきたい。

※出典:農研機構: (研究成果) 酵素パワーで生分解性プラスチック製品の分解を加速

 



 

問い合わせ

日本甜菜製糖 紙筒事業部
 


文/川島礼二郎

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