収穫量の向上を実現! バイオスティミュラント「UPMソラルゴ™900」試用レポート
2024/09/02
北欧フィンランドの森林関連製品の総合メーカーであるUPMキュンメネ社(以下UPM)は、木材を原料とするバイオスティミュラント「UPMソラルゴ™900」をリリース。これに先立ち、香川県にあるもりやま農園にて、本製品の試用試験を実施。試験結果ともりやま農園からの感想をお届けしよう。
厳しい環境下でも
高収量を狙える資材
大雨や高温といった異常気象は、作物にとっては大敵であり、収穫量の大幅な減少をも引き起こす。
こうしたリスクへの対策の一つとなるのが、バイオスティミュラントだ。
農薬にも肥料にも当てはまらない、全く新しい農業資材として注目を集めているのが、バイオスティミュラント。その大きな特徴は、作物や土壌に対するユニークな働きにある。
バイオスティミュラントを散布することで、作物や土壌の活性が高まり、大雨や高温などに起因する非生物的ストレスに対して作物の耐性が強化される。厳しい環境下でも強い作物を育て、高収量を狙ううえで大きく役立つのが、バイオスティミュラントなのだ。
今回モニターを行ったバイオスティミュラント「UPMソラルゴ™900」(以下、ソラルゴ)は、木材に含まれている「リグニン」という高分子の成分を原料としている。
この「リグニン」に特殊技術を用いて、有用菌として知られるトリコデルマ菌を付着し、その後、顆粒状にしたものがソラルゴである。
UPMソラルゴTM 900
ソラルゴを販売するのは、林業大国フィンランドに本社を置き、世界45ヶ国に現地法人、世界12ヶ国に生産拠点を持つ林産企業であるUPM。ソラルゴに含まれるリグニンは、適切に管理された森の木材から抽出しており、木材を使用して森の資源をゆるやかに循環させることで、森を健全に保つことを目指している。木材を原料とするソラルゴの使用は、森の健全な保全と二酸化炭素削減にもつながる。
もっとも高値で売れる
3Lの収穫量が増加
今回、ソラルゴを試用したのは、香川県高松市にて「もりやま農園」を運営する森山優幸さん。
もりやま農園 森山優幸さん
森山さんは、およそ4年前に県内の農園で就農し、そこで2年間ほど経験を積んだのちに独立。もりやま農園を立ち上げ、スイートコーンやブロッコリー、ナス、オクラなど多品目の生産に着手した。現在、もりやま農園がスタートしてから3年目。「栽培方法に関しては、さまざまなことを模索している最中です」と、森山さんは話す。
森山さんが、とくに重視しているのは土づくり。色、形状ともに美しい野菜をつくるためには、土づくりが重要と考えているそうだ。さまざまな資材の使用を検討するなかで、森山さんが注目したのが、バイオスティミュラント。ソラルゴに出会った時、抱いた感想を次のように話す。
「ソラルゴを散布することで、土中の微生物が活性化し、土が良くなるそう。このメカニズムが非常に面白いなと思いました。また、うちの農園では、環境に配慮した栽培をしていきたいと考えているので、木材を原料とした製品である点にも魅力を感じました」
森山さんは、2023年春よりソラルゴの試用を開始。およそ1000㎡の圃場を、ソラルゴを散布するエリアと従来の農法で栽培するエリアに分け、それぞれでスイートコーン「味来946」を栽培した。なお、スイートコーンを定植したのは2023年3月。その後、4月と5月に2回ずつ、「ソラルゴ散布エリア」にソラルゴを散布した。
ソラルゴ散布の様子
2023年5月15日時点での、対照区(左)とソラルゴ区(右)のスイートコーンの成長の違い
そして収穫期である6月、それぞれのエリアのスイートコーンを収穫したところ、ソラルゴの明らかな効果を実感したそう。
スイートコーン収穫の様子
森山さんは、こう説明する。「スイートコーンを出荷するにあたっては、スイートコーンをL、2L、3Lの3つのサイズに分類します。なおスイートコーンは、実が太くてサイズが大きい方が市場での価格が高くなるので、3Lがもっとも高値で売れます。『ソラルゴ散布エリア』と従来の方法で栽培したエリアで採れた、3Lのスイートコーンの量を比較したところ、『ソラルゴ散布エリア』のほうが11%多いという結果が出ました。また、2Lのスイートコーンも、『ソラルゴ散布エリア』のほうが4%多く採れていました。
つまり『ソラルゴ散布エリア』では、太くて大きいスイートコーンの割合が高く、面積あたりの収入金額も高いという結果になりました」
収穫したスイートコーン
「味来946」は、まだ寒い日もある3月に定植時期を迎え、春から初夏にかけて生長する品種。ソラルゴを試用した年の春から初夏にかけては寒い日もあったため、森山さんが暮らす地域では、スイートコーンの生育不良に見舞われた農家もあったそう。しかし「ソラルゴ散布エリア」のスイートコーンの茎葉は、寒さをものともせずに大きく太く育ち、最終的には、3Lサイズの実を例年よりも多く実らせることに成功した。
株全体の生長スピードに差
良好な生育を確認
この年の8月、森山さんには、ブロッコリーを対象としたソラルゴの試用試験も実施してもらった。ブロッコリーの圃場も「ソラルゴ散布エリア」と従来の方法で栽培するエリアに分け、栽培期間中、「ソラルゴ散布エリア」に合計4回、ソラルゴを散布。そして秋に、それぞれのエリアのブロッコリーを収穫した。
もりやま農園のブロッコリー
ブロッコリー収穫の様子
双方のブロッコリーの品質や収穫量を比較したところ、もっとも高値がつく秀品の数には大きな差はみられなかったものの、「生育過程では双方で差がみられました」と、森山さんは話す。
「『ソラルゴ散布エリア』のブロッコリーのほうが、株全体が生長するスピードが早かったですね。株全体が大きくなるスピードが早いと、花蕾が締まった状態でブロッコリーを出荷しやすくなります。花蕾が締まったブロッコリーには高値がつきやすいので、株の成長スピードが早いというのは大きなメリットです」
収穫したブロッコリー
これまでにUPMは、国内外でソラルゴの試用試験を複数回にわたって実施。トマト、ナス、オクラ、南蛮唐辛子、根菜類を対象とした実験栽培を行っており、ポジティブな効果が確認され始めているという。
ソラルゴは、作物本来の力を引き出して良好な生育を促す資材。
また、本製品を使用することで、森林の保全と二酸化炭素削減にも間接的に貢献できる。収穫量の向上や安心・安全な栽培を目指す方は、UPMソラルゴ™900を検討してみてほしい。
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写真:徳山久美子
文:緒方よし子
Sponsored by UPMキュンメネ・ジャパン株式会社