農業で地域活性化!ジビエの常識を覆した町の漢たち
2018/01/05
「ジビエでは無理!」
全国グランプリへの道
2016年、ジビエの価値観が変わりだした古座川町に、耳を疑うようなニュースが舞い込んだ。牛・豚・海鮮などの様々な食材を携えて、全国の強者達が競い合う「全国ご当地バーガーグランプリ(第6回)」で、古座川町の「里山のジビエバーガー」がグランプリを受賞したというのだ。
大会主催者や他の出店者からは「ジビエでは優勝は無理」と言われていたが、来場者の人気投票に加え、ジビエというデリケートな食材を、ジビエ施設での処理工程をはじめ、おいしく完成度の高いハンバーガーに仕上げたことが高く評価され、グランプリの受賞に至ったという。
「この受賞が、地域内でのジビエに対する”価値観”が大きく変化した瞬間であったと思います」。(振興会会員)
全国ご当地バーガーグランプリ(第6回)で、堂々のグランプリ受賞
「里山のジビエバーガー」のチラシ
「いただきます!」
に込められた意味
学校給食で身近な食材としてジビエを食べることにより、「いただきます!」に込められた命の大切さや、ジビエを食すということが鳥獣被害対策の一助となっているという背景についても、食育を通じて伝えることができている。
「豊かな自然と命の尊さを次の世代へ繋げていきたい」と振興会は語っている。
「おいちーよ!」 学校給食でジビエバーガーをぱくり。
古座川をブランドに!
産業・観光振興へ
「里山のジビエバーガー」では、古くからある産業の1つ、紀州備長炭をバンズに使用することで、林業の活性化にも一役買っている。また、使用している安価なミンチ肉以外のロースやもも肉を都市の高級レストラン等に高級食材として販売し、古座川町のブランド化を図っている。
他にも、パン工房カワと連携し、食を通じて地域を知ってもらう「里山のジビエバーガーキャンペーン」を開催し、バーガー購入者の中から抽選で古座川町へ招待。狩猟体験(ちびっこハンターになろう!)やジビエバーベキュー、ナイトサファリツアー等を実施し、「ジビエ体験ツアー」として人々がジビエに親しむ機会を設けている。
ジビエを核とすることによって、新たな食文化の創出や、観光客の誘客をはじめとする産業振興・観光振興にも繋がったという。
まとめ
DATA
古座川ジビエ振興協議会
和歌山県東牟婁郡古座川町高池673-2
TEL: 0735-72-0180 FAX: 0735-72-1858
農水省の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」(第4回選定)で農山漁村活性化の優良事例として選定された31地区(応募は全国から844件)の中から、農業に関係のある取り組みをピックアップして紹介する新シリーズ。これを読めば、農家も地域も元気になるヒントが見えてくる!
text: Yuki Kawahara