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生産者の取組み

成功する農業後継「農作物のブランド化を目指す」

最高級レンコンでメディアに取り上げられ、その名を世間に広めた野口農園。大学院を出て講師を務める息子とその父が、2代で事業を拡大させている。大衆化しているレンコンで成功を収めた秘訣とは? 農家の事業承継のヒントが、きっと見つかる。

農業と講師!?
二足のわらじを履いて

茨城県かすみがうら市生まれの野口憲一さんは、日本大学を卒業後、実家のレンコン生産農家を手伝いながら、大学院で社会学・民俗学を専攻し、博士号を取得した異色の農業者だ。

6年前は、日本大学文理学部で助手を務め、3年前から現在まで日本大学・恵泉女学園大学で非常勤講師を務めている。当初、農業を仕事にしようとは思っていなかった憲一さんだが、実家を手伝ううちに、レンコン栽培や販売の可能性を掘り起こし、二足のわらじを履いて活躍していくことになる。

こだわりのレンコンを栽培する
生粋の技術者・國雄さん

野口農園のレンコン栽培の歴史は、大正15年頃に遡る。憲一さんの父、國雄さんの祖父である國之介さんが、霞ヶ浦湖畔で始めたという。

当時、霞ヶ浦周辺の農業は米づくりが主体であり、その他の農作物は小規模で生産されていた。國雄さんが継いだ頃は、米、レンコン、スモモ、梅、梨などを栽培する、複合経営農家であった。國雄さんは、減反政策での地域一体におけるレンコン栽培の拡大とともに、自身もレンコン栽培を本格的に拡大し、緻密に技術の研鑽を進めた。

昭和55年頃、國雄さんはレンコンの大型ハウス栽培を実践し、茨城県では難しかった5~6月の新レンコンの収穫に成功した。従来は様々な技術を組み合わせることで7月中旬ごろからの収穫は可能であったが、茨城県の気候では5~6月にはレンコンの収穫ができていなかったのである。

この大型ハウス栽培という技術は、國雄さんが試行錯誤の末、茨城県で初めて試み、地域に広めてきた。現在、茨城県では、大型ハウス栽培、トンネル栽培、露地栽培が実施され、ほぼ1年を通してレンコンの出荷が出来るようになっている。

國雄さんは、レンコンの品種へのこだわりが強く、栽培が難しいが食感や美味しさにこだわった『あじよし』という希少品種を主として栽培してきた。『あじよし』は、さくさくとした食感と濃厚な味が特徴の品種で、一部の農家だけが栽培している品種だ。

『あじよし』は、生でかじっても、他のレンコンとは比べ物にならないような”上品で濃厚な甘み”があり、なおかつ渋みがほとんどない。しかし欠点として、病害虫に弱く、安定した収量を維持することが難しい。それでも國雄さんは、奨励品種のような収穫量の多い品種ではなく、とことん味にこだわった『あじよし』を栽培したいと思い続け、実践してきた。

栽培に用いる大型ビニールハウス

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