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生産者の取組み

成功する事業後継 ブランド化にこだわった事業拡大のコツ

よりよい品質のものを生産して、国内のみならず世界へ。ブランド化にこだわり、親子2代で事業成功を収めた野口農園から学ぶ、4つの事業承継ポイントを紹介する。農家の後継者問題のヒントが、きっと見つかる。

前編:成功する農業後継「農作物のブランド化を目指す」
後編:成功する農業後継「地道な広報活動で世界進出へ」

野口農園から学ぶ
事業承継成功のポイント

ポイント1. 先代の技術・こだわりを知り、後継が広報販促で魅力を引き出す

野口憲一さんの父であり、社長でもある國雄さんは、レンコン栽培の技術開発にこだわり、『あじよし』という品種を選抜し、栽培し続けてきた。

しかし商品が素晴らしいだけでは、ビジネスの成功とは言えない。商品の素晴らしさをお客様に理解してもらい、商品に見合った販売価格で評価してもらうことが必要だ。

憲一さんは、國雄さんが作ったレンコンの素晴らしさを理解し、独自の象徴的な商品「1本5000円のレンコン」をつくり、顧客の方々に認知してもらう活動を行ってきた。野口農園のブランド化をすすめ、商品開発とマーケティングを連動させ、新しい事業の成功に導いた。

ポイント2. 時代に合ったビジネスモデルの構築

曽祖父・國之介さんから、先代の國雄さんの時代までは、レンコンは珍しい野菜だったため高級品であった。そのため、小規模ではあったが、レンコン栽培に取り組んでいた。

國雄さんが大型ハウス栽培を確立したころは、ハウスレンコンは2kgで5000円という価格設定が当たり前だったそうだ。露地物も現在よりは高価だった。

その後、生産者が増加し、レンコン市場が拡大されるにつれて、レンコンは大衆化した。ハウス物も、初物というだけで高く売れることは徐々になくなり、高級野菜だったレンコンは日常のものへと市場が変化したのである。

憲一さんは、レンコンのこれまでの流通の常識にとらわれず、市場環境の変化を敏感に捉え、”自社農園ブランドのレンコン”という新たなビジネスモデルをつくってきた。

農業を継ぐ後継者に求められる考え方とは、世の中の変化を敏感に捉え、これまでのビジネスモデルに安住せず、変化を促し、果敢に挑戦することにある。

ポイント3. 生産に対する厳しさだけでなく、顧客視点の導入とブランド管理を行う

憲一さんは、自社農園をブランド化するとき、あくまで顧客視点で考えた。自社農園のレンコンが、食べたことがない人から信頼を得るにはどうすべきか。ここに新しい視点を持ち込んだ。大正15年からのレンコン作りという伝統を活用する方法である。

顧客にとって、百年近くレンコンを作り続けている農園であれば、しっかりした品質なのであろうと想起させる。生産者の立場の視点であれば、それほど重要視されていなかった自社の強みを見出し、顧客視点で積極的に自社農園のブランド化を進めてきた。

『あじよし』レンコンを美味しく食べるためのレシピ開発や、チラシなどの販促ツールでメニューの提案をするのも、顧客視点あってこその取り組みだ。また、國雄さんと激しく議論を繰り返し、日々野口農園がレンコン品質に妥協せず研鑽をつづけていることも、ブランド商品にとって重要なことである。

顧客が、一度野口農園のレンコンの味を高く評価したとしても、次の購入で味が落ちたと判断されれば、ブランドの信頼はなくなってしまう。ブランドを維持し、磨き上げることは、社内の品質管理を油断せず磨き上げることと同義であると理解し、憲一さんは実行してきた。

ポイント4. 国内での成功で満足しない経営視点

憲一さんは、国内食品卸会社との取引口座を開拓し広げてきた。さらに、国内の販路の拡大に満足することなく、海外にも目を向けている。海外へ輸出する貿易会社との商談を積極的に行い、ニューヨークの高級和食レストランにレンコンを届けている。

そして、さらにドバイへも販路を広げようとしている。世界はボーダーレス化し、毎月2百万人以上の方が、海外から日本に訪れるようになった。日本食料理店も世界中にどんどん広がっている。世界を市場として捉えると、日本の農業もまったく違う世界に見えてくる。人口減少の時代に突入し、デフレからの脱却に時間が掛かっている国内とは、大きく異なるビジネスチャンスが、世界には存在している。

野口農園は、最高品質であれば世界で戦えるということを示してきた。国内だけでのブランド化という、これまでの農業の視点とはまったく違う目線でのチャレンジが、憲一さんにはある。この目線の高さは、これからの農業事業者に是非持って頂きたい視点だ。

話を聞いた人

野口農園MD&採用担当取締役 茨城県かすみがうら市生まれ 36歳
野口憲一(のぐちけんいち)さん

野口農園代表者 茨城県かすみがうら市生まれ 67歳
野口國雄(のぐちくにお)さん

取材

「親子農業」研究員 ㈱ビジネス・ブレークスルー所属

乾祐哉

監修

親子農業指導教官 ㈱みやじ豚代表取締役

宮治勇輔

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