生産者の取組み

成功する農業!農福連携での『共有×可視化』の重要性

農福連携を成功させるためには、農業者と福祉事業者それぞれがお互いの目的を尊重し、また目的達成のための考え方や状況を「可視化」して共有することが重要である。農福連携を実践している一員として、また障がい者就労支援施設の職員として、経験談と共にツールを活用した連携方法について紹介する。

農業者と福祉従事者がお互いのことを
理解し尊重し合わねばならない

「農業者は福祉の知識がない。福祉従事者は農業の知識がない」。

当然のことを言っていると思われるだろうが、実際の現場ではここが大きな壁となる。私も農業経験が全くない福祉の職員であり、現在の職場に入って農場へ出た際、初めて作業に必要な資材が足りないことに気づいた。

農業者としては「足りないなら自分で取りに行けば良い」と考えるだろうが、福祉の現場では障がい者(以下、利用者とする)数人に対し、職員が1人しか同行しない場面が多々ある。

「その空間を利用者だけにしてはいけない」という概念は福祉従事者にとっては当たり前である。資材が足りなければ全ての利用者を引き連れて動かなくてはならないので、時間も労力も大きく消費してしまう。

また、農業者にとって、除草や収穫などは日常的な業務で簡単なことだと思うだろうが、利用者や福祉事業所の職員は土を触ったことがない人も少なくはないのだ。

めぐみの里 作業の様子

また、臨機応変に対応できることも重要である。このことは重々承知していても、イレギュラーな事態は起きてしまう。その事例として、最も多いのが利用者の体調である。

風邪気味、腹痛、疲労、といった身体的なものから、精神的なものが影響している場合もある。利用者の体調や気持ちのケアを考えれば、当初の予定通りに作業を遂行できないことも起こりうる。

事前にシミュレーションしていたものと大きく変わることで、農業者も「予定していたものと作業の進み具合や人数配置が全然違う」といった不満が生じることもあるだろう。

実際に、私の職場でも取り組み始めたころは、予定通りの作業をこなすことができず、双方の意見の食い違いで、農業法人の社員と私たち職員とで衝突することもあった。

担い手不足の農業者と、利用者の仕事が不足している福祉事業者は、本来であれば、お互いが連携するメリットは十分にあるはずである。しかしながら、うまく業務連携ができないのは、お互いが「いいとこ取りをしよう」という考えになってしまうからだ。

重要なのは、お互いが目的達成する歩み寄りの着地点を把握し、それに向けた手段を実践することである。

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