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生産者の取組み

新型コロナに対抗! 観光農園が行った話題の宅配サービスが大人気のうちに完売

コロナ禍による外出制限を受けて、観光客の減少が続く果樹園。果物の廃棄も問題となっている中、株式会社やまがたさくらんぼファームが運営する王将果樹園では、客先の自宅までフルーツを配送する「ワケあり倶楽部」を行い、見事成功につなげている。

果樹園の集客が困難に
旬の果物を家まで届ける

株式会社やまがたさくらんぼファームが運営する王将果樹園は、フルーツ頒布会「ワケあり倶楽部」を開始した。6か月間7回にわたって、8種類のワケあり果物を、定期的に客先の自宅まで宅配する。
 


昨年のさくらんぼ狩りの様子

 
今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光果樹園への集客が難しくなった。王将果樹園では、5月16日から開園予定だったさくらんぼ狩りをはじめ、年間約3万名が来園していた果物狩りの予約が、ほとんどキャンセルとなっている。定期的に旬の果物を家まで届けることで、あたかも果樹園で好きな果物をたくさん摘むような体験を提供する。
 

果物の廃棄処分を減らし
フードロス解消にも貢献

同社では以前より、旬の時期に観光果樹園の店頭で「ワケありくだもの」を販売しており、売れ筋商品だったとのこと。観光客のキャンセルが相次ぐ一方、果樹園では、今でもたくさんの果物が順調に生育している。
 
また同社で扱うワケありくだものは、自社農園で収穫されるさくらんぼ、桃、ぶどう、西洋なし、りんごに限らず、山形県内の生産者が育てたスイカや柿なども販売しているため、廃棄果物は最大約3トンにもなると予想されていた。
 
今回の取り組みでは、体験価値の提供と同時に、果物の廃棄処分を減らすなどフードロス問題の解消にも貢献し、山形県内の生産者の収入面の減少も抑える仕組みを構築することが狙いだ。



山形県の果物のPR、
休業中の会社員雇用にも

頒布会というサービスは、これまで食べたことのない果物の味を知ってもらえる上に、山形の果物を食べたことがない方に試してもらえる機会になる。また、山形県の魅力を伝える情報も同封することで、状況終息後の観光促進に繋がる。
 
収穫される果物は、ワケあり果物として出荷することで、選果のコストを抑えることができる。通常品より約2割~3割ほど安く提供可能できる見込みだ。また、収穫の労働力は、現在休業中の付近の温泉旅館などの従業員から手伝ってもらうとのこと。新型コロナウイルスによる危機的状況を乗り越えるため、観光関連事業同士で連携して運営を進める。
 
定額28,567円(税・送料込み、但し、沖縄および離島へ発送する場合、別途送料が7,000円かかる)で、6か月間7回にわたって、8種類のワケあり果物を合計42kg分「一番おいしい時期」に配送する。ちなみに価格の28,567円には「2(フルーツ食べて)8,(やっつけろ!)567(コロナ!)」のメッセージも込められている。
 


出荷の時期の目安

 
本サービスは多数の申し込みを受け、無事販売数に達したため大人気のうちに販売を終了した。現在、半年で5回果物が届く「おらんちの果物」、6月中旬から3回にわけて品種の異なるさくらんぼが届く「さくらんぼ倶楽部」は予約受付中とのこと。
 
新型コロナウイルスの感染拡大により、休園を余儀なくされた観光農園も少なくないだろう。経営存続の対策として、参考にしてみてはいかがだろうか。
 

DATA

株式会社やまがたさくらんぼファーム


文:竹中唯

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