きゅうり農家が、AI搭載の自動選果機を作ってみた
2017/02/23
日本農業は高齢化と農業従事者の減少により、深刻な労働力不足に陥っている。国を挙げた取り組みに期待が掛かっている一方で、個人の農家が果敢にも最新技術を用いて、作業の自動化に挑んでいる。
開発の背景
通常、きゅうりの仕分け(選果)は人力で行う作業である。現在、果樹やトマトの自動選果機はあるものの、残念ながら「きゅうり」の自動選果機は市販されていない。
「これを自動化して、きゅうり作りにもっと労力を割けたら」と思っていたのが、静岡県でご両親と3人できゅうり作りを行っている小池誠さんだ。施設面積40アールの小池さんの場合、繁忙期には選果作業に8時間も掛かるという。
普通の人であれば、そんな機械を自身の手で作ろうとは思い浮かない。ところが元IT技術者の小池さんは違った。オープンソースAI(人工知能)プログラム「TensorFlow」を活用すれば、ディープラーニング機能を搭載したきゅうり自動仕分け機を自作できるのではないか、と考えたのである。
きゅうり選果作業とは?
そもそも、きゅうりの選果作業とは、出荷する際に傷や病気があるものを弾いたり、形や色合い、大きさによりランク別に選別する作業のこと。選別にあたっては、特に統一規格があるわけではなく、各農家によって独自ルール(出荷先の希望、市場での値の付き方、作業効率などにより決めている)が存在する。
小池さんファミリーの仕分けルールは、概ね以下のようになる。
<上掲の写真は試作1号機のもの。影が入り込んでいる。2号機で既に改善されており、現在は3号機を制作中。/画像提供:小池さん>
・2L〜2S
良品。色艶よく、比較的まっすぐで太さも偏っていないもの。大きさにより2Lから2Sまで5段階に選別される。
・BL〜BS
B品。色合いが悪かったり、少し曲がっていたり太さが不均一なもの。大きさによりL〜Sまで3段階に選別される。
・C
C品。形の悪いもの。