スマート農業の入門に最適! 病害予測機能搭載のモニタリングツールを試してみた【導入編】
2019/11/08
ハウス内環境を見える化するサービスに、病害予測機能を搭載した設置が簡単で使いやすい『プランテクト』。その真の実力を測るべく、青森県の農家さんに自分で設置して使用できるのか、試していただいたレポートをお届けしよう。
モニターに応募してくれた濱田さんは、マグロで有名な大間のほど近く、下北半島の先端付近にある青森県下北郡東通村でいちご農家を営んでいる。都内で11年間会社員として働いた後、祖父から農業を引き継ぎ、夏秋いちごを栽培している。
下北地域には、夏場になると、やませと呼ばれる偏西風が吹く。そのため全国的に暑さが厳しくなる夏季でも冷涼だ。この気候特性を活かして、同地域では、国産いちごが市場から減少する時期に出荷できる夏秋いちご栽培が盛んである。
そんな夏秋いちご農家の濱田さんは、近県で開催された展示会で『プランテクト』を知り、興味を持っていた。そして当サイトがモニターを募集していることを知り、応募してくれた。
次世代農業プロジェクト企画に参加してくれた濱田さん。
ハウス内環境のモニタリングと
病害の予測機能を搭載
『プランテクト』とは、センサーによるハウス内環境のモニタリングと、AIのアルゴリズムによる病害の感染予測を提供するサービスだ。製造元のボッシュが独自技術で開発した、温度湿度センサー、CO2センサー、日射センサーで、ハウス栽培作物を対象にハウス内環境を見える化できる。
またトマトの灰色かび病・葉かび病・うどんこ病、きゅうりといちごのうどんこ病といった生産者が悩まされている病害の感染リスク予測を提供する。
濱田さんのハウス。施設面積3.3a、9棟のハウスで、夏秋イチゴを栽培している。
濱田さんは以前、ハウス環境を見える化する別のサービスを使っていたのだとか。当時は「見える化して何をするのか」という特別な目的がなかったこと、また使い勝手も良くなかったので、使用を止めていた。
そんなある日、農薬散布のタイミングを見誤ってしまい病気が蔓延。それにより1棟分のイチゴを失った経験があるのだという。
農薬は撒けば良いというものではない。労力と費用が掛かるうえ安全性も気になるから精神的には撒きたくない。だが撒かなければ病害に襲われる。
そんな時、病害予測を知らせてくれる機能を搭載する『プランテクト』を知った濱田さん。今回は「『プランテクト』の病害予測機能に期待しています!」と目的も明確化されているようだ。
プロジェクト始動!
STEP1
設置作業はカンタン!
『プランテクト』一式は90cmサイズの小さな段ボール1箱に梱包されていた。箱を開封して最初に設置したのは通信機。各センサーから得られた情報をクラウドに飛ばす。通信機はネジ留めするだけだから濱田さんもスイスイと作業完了!
通信機はセンサーから1.5km以内であればどこでも設置可能。
STEP2
センサーは電池式だから電源不要!
続いてセンサーの設置。温度湿度センサー、CO2センサー、日射センサーの3種類が各1個同梱されているので、ハウス内中央付近などの推奨場所に設置した。濱田さんは脚立とロープを倉庫から運び出し、ハウスのフレームを利用して釣り下げた。電池式だから電源も工事不要だ。これまたアッという間に作業完了。驚いたことに、たったコレだけで設置作業は完了してしまった!
左から、日射量、CO2濃度、温度・湿度を測る機能がある。
早速実践してみよう!
アッという間に利用開始
通信機とセンサーを設置したら、センサーを通信機に認識させる登録作業を行う。これにはメールアドレスが必要であるが、濱田さんは「スマホを使い慣れている人なら全然平気! 番号を入力するだけですから」と余裕でクリア! もし登録作業に手間取ってもコールセンターがサポートしてくれるから安心だ。
ハウス内環境の見える化で
経験をノウハウに変える
『プランテクト』の重要な機能の一つがハウス内環境の見える化である。温湿度、CO2濃度、日射量を離れた場所にいても知ることができる。
温湿度、CO2濃度、日射量がデバイス・スマートフォンでいつでもチェックできる。(※画像はトマト農家)
感覚や経験に頼るのではなく、それらパラメータを数値として見えるようにする。これは収量を増やすための栽培方法を探るための第一歩となる。過去3年分のデータはスマホ等から簡単に見ることができる。
データはCSV形式でダウンロードもできるので、PC等にデータを取りためていくこともできる。スマート農業の入門に最適なサービスだ。
また別料金でセンサーを追加すれば、多棟で経営している人にも対応可能。各ハウスの環境を何処にいても手元で知ることができるから見回りの手間も省ける。
これで労働効率が向上する。濱田さんも「使ってみて便利だったら他のハウスにも入れようかしら」とのこと。アラート機能が搭載されており、異常があれば知らせてくれる。これも嬉しいサービスに違いない。
AIが病害予測してくれるから
農薬散布も効率的にできる
作物に応じてAIが病害リスクを予測。(※画像はトマト農家)
『プランテクト』が特徴的なのは病害予測機能を有していること。
濱田さんは「一度ハウス1棟分を駄目にしてしまった経験があるので、病害予測機能に期待しています。事前に感染リスクを教えてくれるから、農薬散布を効率的にできるでしょうね」と期待に胸を膨らませている様子だ。余分な農薬散布を減らせれば、経費削減と労働効率向上に繋がる。
現在対応している病害は、トマトの灰色かび病・葉かび病・うどんこ病、きゅうりといちごのうどんこ病。AIを通じて92%の精度で感染リスクを教えてくれるから、リスクが高まったら環境改善や農薬散布すれば良い。
デバイスを確認しながら、リスクのある箇所をチェックすることが可能。
選果作業や事務作業などでハウスから離れているときでも、気になったらスマホなどでハウス内環境をチェックできる。撮影日は酷暑だったが、濱田さんは早速ハウスの様子を確認していた。
見える化と病害予測機能が
簡単に手に入る!
最後に、濱田さんに『プランテクト』設置の感想と今後の活用方法について尋ねてみると……。
「思いのほか小さな箱で届いたので驚きました。設置はご覧いただいた通り、簡単そのものでした! 撮影されていたので緊張しましたが(笑)、それでも1時間ほどでできました。センサーは全て電池式だから工事が不要というのも嬉しいポイントですね。すぐに使い始めることができました」
「期待しているのは病害予測機能です。『プランテクト』に任せきりではいけないでしょうけど、感染リスクを知らせてもらえたら、必要なタイミングで確信を持って農薬散布ができます。私は経験が浅いので、経験者からアドバイスを貰える感覚、安心感を得られると期待しています。
見える化の機能では、飽差を見ることができるので、それを収量増のための判断基準として利用してみたいですね。
あとは複数アカウントで利用できるのも嬉しいです。主人と一緒に経営しているので、もしかしたら『プランテクト』が夫婦間のコミュニケーションツールの一つになってくれるかも知れません」と笑顔で語ってくれた。
<製品概要>
Plantect®
DATA
Photo >> NATSUKI MATSUO(NAOTO OHKAWA Photography, inc.)
Text >> Reggy KAWASHIMA
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