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電気を売って収入アップ! 話題の「ソーラーシェアリング」の仕組み

農業と発電、2つの事業を同時に行う営農型ソーラーが注目を集めている。つくった電気は、電力会社が買い取ってくれるから収入アップは確実だ。せっかくの広い土地、農作物を作っているだけではもったいない!?

上の写真は、市民エネルギーちば匝瑳第一発電所(2016年導入)

 

営農型ソーラーってなに?

営農型ソーラーは、「ソーラーシェアリング」の名でも知られる新しい農地活用の姿。太陽(ソーラー)を農業と発電で共有(シェア)しようという試みだ。耕作地の上に藤棚のように太陽光パネルを設置して、営農を続けながら、農家が電気までつくってしまう!

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食糧も電気も農家がつくる

 

ソーラーで農業再生
地域の活性化にも貢献

パネルの設置によって太陽光が遮られ、農作物に悪影響は出ないのか? 実は、一定量以上の太陽光は植物の光合成には活かされておらず、ある程度、光を遮っても収量に影響のない作物が多いという。農業収入を落とさずに、売電収入まで得られるのなら、まさに一石二鳥だ。

2013年、農林水産省が農地利用の規制を緩和する方針を打ち出したこともあり、営農型ソーラー(ソーラーシェアリング)への取組みは着実に広がりを見せている。その最大の魅力は、 “農地を守りながら” もう一つの収入源を得られるということにある。

しかも発電事業は、設備をつくってしまえば、後はほとんど人手が掛からない。そこには、農家の後継ぎ不足や高齢化、耕作放棄地の増加など、日本の農業が抱える様々な問題を解決する可能性が満ちている。

千葉県匝瑳市で営農型ソーラーを推進する、農業生産法人スリーリトルバーズの皆さん。「人が集う農業」を合言葉に、農業とエネルギーの持続可能性を追求している。

 

最近では、営農型ソーラーで地域の活性化を図ろうとする取組みも出てきている。千葉県匝瑳市の「市民エネルギーちば」による活動も、その一つ。通常は営農している土地で始めるソーラーシェアリングを、耕作放棄地で計画し、その土地を農地として再生させることにも成功した。

さらには、農作業を行うための農業生産法人を立ち上げ、新たな雇用まで生み出している。現在は、より大規模な営農型ソーラーで地域全体を豊かにすべく、多くの人びとを巻き込んだプロジェクトに発展しているという。

営農型ソーラーは、農家を豊かにし、日本の農業を変えていくだけではなさそうだ。地域の人々のつながりを再生し、地域の明日をも変えていく。

そのとき農家は、日本の “食とエネルギーを支える” かけがえのない存在として蘇るに違いない。営農型ソーラーには、そんな未来を予感させる大いなる力がある。

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