6次化

高知県の限界集落が地栗で年間15 万人を呼び込む!

高知県・四万十川の中流域に、地方創生のモデルとして全国から注目される道の駅がある。「道の駅四万十とおわ」だ。村でとれたものを、村で売る。小さな地域を元気にしてきた、取り組みの秘訣を聞いた。

ここにしかない
地域の資源に価値がある

高知空港から車で約2時間、美しい山と川に囲まれる中山間地に「道の駅四万十とおわ」はある。

四万十町の人口数は1.8万人。道の駅設立に際し、コンサルタントが提示した客数見込み数は約5万人だった。しかし、現在の年間のレジ通過数は15万人と驚異的な数字を叩き出し、事業全体の売り上げは3億5000万円にも達する。

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四万十の栗は、ずっしりと大粒で甘いのが特徴だ。通常1粒20g前後だが、四万十では25g以上にもなり、最近では平均30g 以上にもなる生産者もいる。蒸すことで糖度は19〜20度にもなり、その甘さはメロンをも上回るほどだ。

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四万十の環境が作り出したこの地栗を「しまんと地栗」として注目したのが、同道の駅を運営する、株式会社四万十ドラマ代表取締役の畦地履正(あぜちりしょう)さんだ。

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「四万十川流域で採れたものを、自分たちで売る。『ここにしかないものづくり』が、コンセプトです」と語る畦地さん。

大正町・十和村・西土佐村の町村が設置した第三セクター「株式会社四万十ドラマ」の事務局に勤めていた畦地さんは、2005年、株を全て買取るかたちで新しいスタートを切った。



地栗を価値ある地域資源としてプロデュースすることを決意し、「しまんと地栗」をブランドとして売り出し始めた頃は、百貨店バイヤーからダメ出しを受けることもしばしば。それでも諦めずに地道な営業活動を繰り返した。東京で行う地域産品展などのイベントに参加し、試食販売などを繰り返すこと約3年。少しずつリピートのお客さんが増え、今では百貨店からの注文で限定商品なども作っている。

パッケージデザインには地域在住のデザイナーを起用し、商品が出来上がるまでの背景や、関わる人をよく理解した上でデザインする。単にものを売るだけではなく地域の考え方を、商品を通して伝えるためだ。

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道の駅の川側広場にオープンした、四万十のお茶と栗を楽しめる「おちゃくりカフェ」。

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おちゃくりカフェで食べられる「しまんとロール」。

 

50年先の未来のために
栗の栽培に取り組む

しまんと地栗が世間に知られると、今後は新たな課題が生まれはじめた。

道の駅に人が溢れ、加工品が売れれば売れるほど、原料の栗が足りなくなっていった。最盛期は800tを超えるほどの生産量があった四万十の栗は、高齢化や離農により、20tを切るような状況だったのだ。足りない原料は、県外から調達することも出来るが、畦地さんは主原料は地元産であることにこだわり、栗の生産を始めることを選んだ。一次産業に立脚した取り組みでなければ、地域の発展にはならいと考えたからだ。地域住人を巻き込み、ここ数年間で1万本もの苗を植えた。



事業統括マネージャーで、指導剪定士の伊藤直弥さんは、独自のしまんと栗の栽培ノウハウ作りに取り組んでいる。伊藤さんの剪定技術によって、ひと枝に3個ほどしか着球しなかった栗が、少なくとも20個ほども着球するようなった。一反あたり70kgほどだった収穫量は150kgにまで向上させ、更に多くなる勢いだ。

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栗の木は、きちんと管理されれば50年以上も経済作物として活躍してくれるという。生産から加工、販売までの流れをつくり、地域で価値と利益を分け合う取り組みを目指している。
「子供たちが成人した時に、この地に誇りの持てる仕事があるようにしたい」と語る畦地さん。ローカル(足元の豊かさ・生き方を考える)、ローテク(地元の1~1.5次産業の技術や知恵)、ローインパクト(風景を保全しながら活用する仕組みづくり)をコンセプトの3本柱とし、循環型のものづくりにこだわることで、限界集落と呼ばれた町が、再生をはじめている。

 


写真・文/ Tomoko Kotaka

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