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成功する農業後継「子供の頃から農業が嫌だった」

努力とは無関係に下がり続ける米の価格に絶望。更に実家には、一千万円を超える借金が……。劇的なV字回復で新潟市の一農園の米を、東京六本木でファンを獲得するブランド米にまでのしあげた革命児の事業継承秘話を赤裸々紹介! 新シリーズ「成功する農業後継」。農家の事業承継のヒントが、きっと見つかる。

父から息子へ
事業後継は農家の希望

農家に生まれたからって、長男だからって、農家を継がなければいけないわけじゃない。

大越農園の長男、正章(まさふみ)さんは、実家の農園を継ぐことに反発を感じていた。ではなぜ、嫌だと思っていた事業を継ぐことになったのか? 彼を変えたのは、明け方、目の前に拡がる無言の〇〇の姿だった。

実際に農業を始めてみると、奥が深い。丹精込めて作ったというのに、自分の努力とは無関係に下がり続ける米の価格に絶望したこともある。更に実家には、一千万円を超える借金があると知ってしまった……。 劇的なV字回復で新潟市の一農園の米を、東京六本木でファンを獲得する高価格なブランド米にまでのしあげた革命児の、事業継承の物語をみていこう。

子供の頃から
農業をやるのがいやだった

新潟県新潟市の大越農園の先代は、米作りと建築関係の仕事との兼業農家であった祖父の後を継ぎ、4haの兼業米農家として農業をはじめた。その後、ほぼ米での専業農家となり、規模を8haに拡大。息子たちは、そうして農業を営む父母の姿を見ながら育った。

長男の正章さんは、子供の頃から農業をやるのがいやだった。土日の休みもない。なかなか遊びにも連れて行ってもらえない。そんな思い出があった。農業を継ぎたくないという思いが強く、普通科高校に通い専門学校を経て、古町のバーでバーテンダーとして働き始める。

新潟古町は日本有数の歴史ある遊郭で、明治期には新橋・京都と並ぶ三大花街と呼ばれ、現在も有名な料亭が軒を連ねるエリアだ。そんな土地柄もあってか、正章さんが勤めるバーには、夜の仕事の後にほっとする時間を過ごしたいと通ってくれる常連さんも多かった。

父の入院
温室のチューリップ

正章さんが20歳を迎えた頃、父が心不全で倒れた。折しも、父母二人で新しく始めたチューリップ栽培の温室を立て、球根を植えた直後の出来事だった。現場は人手が足りなくなり、母の求めに応じるかたちで、正章さんはバーに通いながら、農場の手伝いを始めることになる。

最初の仕事は、バー帰りでの、温室のチューリップの水遣りであった。一週間毎日チューリップの水遣りを続けるも、まったく変化しない。そろそろ作業に飽き始めたある日、朝温室に入ってみると全部のチューリップが一斉に芽を出している。その景色を見て感動し、この仕事をもっと勉強したいと強く思った。このことが、正章さんが農業に向き合う大きなきっかけとなった。

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