生産者の取組み

成功する農業後継~時代を超えて繋がれた”先々代の夢”

「農業は偉大」
先代への感謝と信念

先代・富基さんも、後継の貴基さんも、北川鶏園のたまごが特別であることに全く気づいていなかった。

しかし、市原市のケーキ屋を後にした貴基さんは、オーナーの言葉をきっかけに自社商品のもつ『強み』に気づき、その後は洋菓子店を中心に営業に出ることにした。そのうちに千葉県の有名なパティシエの目に留まり、千葉ナンバーワン洋菓子店で北川鶏園のたまごが採用された。

「あの有名パティシエが使っているなら、うちでも使うよ!」と、他の洋菓子店からも指名で購入してもらえるようになり、気がつけば直販ルートがどんどん広がっていった。今では販売先のほぼすべてが洋菓子店や飲食店だ。

『自社商品の強み』をお客様に見出してもらい、これまでの経営戦略を”見直し”、プロ向けに直接販売を行うという新たなビジネスモデルを創り出した貴基さん。

その営業力や真摯な向上心は、米国研修で培った粘り強さと自信、そして研修先の農場主から学んだ「農業は偉大なんだ」という信念から生み出されたものだ。もちろん、あのときの研修生仲間たちとの『農業に生きる』と語り合った思い出も、胸の中で貴基さんを支え続けた。

貴基さんは、事業を受け継いでくれた先代と先々代に、感謝と尊敬の念を抱かずにはいられない。

北川鶏園の挑戦は
終わらない

2010年、北川鶏園はうこっけいを導入し、職人たちの期待にさらに応えるたまごの生産を開始した。うこっけいのたまごは、通常の鶏卵に比べ脂質が高く水分が少ないので “こってり濃厚” な味わい。このたまごを使えば、パウンド系洋菓子はしっとりコクが出て、厚焼きなどの卵焼き料理は深い風味が出るのだ。

「また、よろしくね!」
洋菓子店のオーナーの言葉を背に受け、貴基さんは店のドアを開けた。目の眩むような強い陽差しを受け、通りは光って見えた。

「よし!」踏み出した貴基さんの足取りは力強く、堂々としていた。農業は、大変な仕事だ。けれど、夢がある。次の世代に “いい仕事” だと思ってもらいたい。だから貴基さんは、今日もまた新しいドアを開けるのだ。

北川鶏園は、2014~2017年の千葉県農林水産大臣賞を受賞。益々磨きが掛かるブランドたまごに期待が集まっている。

 

※次回は2018年2月9日に配信予定です。

 

話を聞いた人

有限会社北川鶏園 代表取締役社長

北川貴基さん

 

有限会社北川鶏園 取締役会長

北川富基さん

取材

「親子農業」研究員 ㈱ビジネス・ブレークスルー所属

乾祐哉

監修

親子農業指導教官 ㈱みやじ豚代表取締役

宮治勇輔

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