水田フル活用政策、来年度は「産地交付金」さらに手厚く
2018/09/06
水田を活用して、主食用米ではなく麦や大豆、飼料用米などを生産する農業者には「戦略作物助成金」、都道府県には「産地交付金」が支給されている。8月31日に農水省が発表した来年度予算概算要求によると、来年度は産地交付金がさらに手厚くなる見通しだ。
政府主導の減反政策から
地域ごとの水田活用へ
主食用の米の需要は、毎年減少している。そのため政府は、米の生産調整(減反政策)を行っていたが、昨年度で終了。今年度からは、各地域主体の生産に切り替えた。
各地域では、農業再生協議会によって「水田フル活用ビジョン」が作成され、米の作付目標などが決められた。減反政策時代から引き続き、主食用米は需要の減少に合わせた生産量とする一方で、水田を他の市場ニーズのある作物の生産へと切り替えていく狙いがある。
その後押しとなるのが「水田活用の直接支払交付金」制度だ。水田を活用して、麦や大豆、飼料作物などを生産する農業者に助成金を交付することで、主食用米から他の作物への切り替えを促している。
以前から実施されてきた同制度は、各地域主体の生産となった今年度も継続。今年度の対象の作物(戦略作物)と交付単価は、以下の通りだ。
戦略作物助成(出典:農林水産省)
また、政府が助成するのは、農家だけではない。都道府県に対しては「産地交付金」が配分される。これは、二毛作や耕畜連携などを含めて、地域の特色のある魅力的な産地を創造するための支援策だという。
産地交付金(出典:農林水産省)
来年度予算も同額を要求
産地交付金をさらに手厚く
今年度の「水田活用の直接支払交付金」の予算額は、3,304億円だった。8月31日に農林水産省が発表した、来年度予算概算要求の「水田活用の直接支払交付金」の項目を見ると、今年度と同額の3,304億円という数字が記載されている。この金額は、他の多くの項目よりもひとケタ以上多く、同省がこの事業にいかに力を入れているかがわかる。
さらに来年度は、産地交付金が今年度以上に手厚くなる見通しだ。今年度と同様の配分に加えて、「高収益作物等の作付面積が拡大した場合には、その面積に応じて、2.0万円/10aを追加配分(高収益作物等拡大加算)」するという。