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農福連携で事業を拡大し、地域に新たな価値を! 地域課題を次々と解決する“福祉”の力

直売所やカフェ、農場イベント、移動販売の運営を手がけるほか、農場、養鶏場ともに「JGAP」を取得するなど、先進的な取り組みを続ける「社会福祉法人 こころん」。地域との結びつきのなかで辿って来た、これまでの歩みを聞いた。

昨年開催された「農と食のSDGs~女性の起業と復興」では、フードビジネスに関わる女性が登壇し、活動内容などを発表。本記事では「地域と農業」をテーマに講演した「社会福祉法人こころん」の取り組みを紹介する。

福祉の力を活用し
地域に新たな価値を生み出す

社会福祉法人こころん」は、障害をもつ人々の生活支援センターとして、2005年に設立された。

同団体の利用者の多くは精神障害をもつ人々で、個人差はあるが日常的に働くことが可能だという。そのため同団体では、生活支援に加え、就労支援事業も積極的に手がけてきた。

常務理事施設長の熊田芳江さんは説明する。

「私たちが行っている就労支援事業は、『障害者総合支援法』において『福祉サービス』に位置づけられる事業です。また、『福祉サービス』に含まれる『障害者支援』には、『就労移行支援』『就労継続支援A型・B型』『ジョブコーチ支援』の3つがありますが、『就労継続支援B型』と雇用契約を結び一般就労に近い『就労継続支援A型』を事業として展開しています。


常務理事施設長の熊田芳江さん

「こころん」を設立した当初は、自家製しいたけや味噌の販売など、ごく小規模な事業を手がけていたが、平成18年の「障害者自立支援法」の改訂に伴い、「こころん」の体系を変更する必要性が生じたそう。同時に、新事業の立ち上げも余儀なくされたことから、「直売・カフェ こころや」をスタートさせた。

「『直売・カフェ こころや』は、新鮮な農産物や加工品の販売のほか、ランチやスイーツなどの提供を行う店舗です。立ち上げた当初は、地元農家の方が生産した農産物を買い取り、販売していました」。


直売・カフェ こころやの人気商品、地元産の食材を使ったオムカレー。



その後、東日本大震災の発生に伴い、買い物難民となってしまった人々のため、移動販売も開始。また、住民の大半を高齢者が占める団地では、買い物に行くことが困難な人が多くいることを知ったのを契機に、団地での移動販売も始めたところ、次第に「こころや」が来るのを心待ちにする人が増えたという。


毎週土日に、地域の人々への野菜の宅配と飲食店への卸売を行う。

「こころん」は段階的に事業を拡大しており、現在は、有機野菜や平飼いたまごの生産・販売、平飼いたまごを使ったお菓子を提供する「こころん工房」の運営も行っている。

「最初から6次産業化や事業拡大を目指していたわけではなく、地域の状況などに応じて利用者の方々の仕事を作っていった結果、現在のような規模の事業所になりました。例えば、立ち上げ当初、農業は事業として行っていませんでしたが、農業人口の減少や高齢化を背景に、耕作放棄地が増えていく状況をみて、継ぐ人がいない農場を買い取るなどして農業をはじめました」と、熊田さんはこれまでを振り返る。

「福祉の力を活用することで、地域が抱える問題が解決されるケースがあります。障害をもつ方々が上手に事業に関わることで、地域に新たな価値が生まれるのでは、と思います」(熊田さん)。

DATA

農と食女性協会


Photo&Text:Yoshiko Ogata



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