【知って得する】若手農家必見! 農家が知るべき3つの「生産性」とは?
2019/02/26
国内のあらゆる産業において「生産性の低さ」が指摘されているが、とりわけ農業についてはそれが顕著である。そこで今回は農業生産に関する「生産性」の求め方について整理した。農業現場でよく使われる「反収」だけでない、3つの指標をチェックすることが、働き方や経営拡大の方向性のヒントに!
そもそも”生産性”とは何か?
生産性とは「アウトプット÷インプット」あるいは「リターン÷コスト」で表される指標だ。 費用対効果を表すものとも言える。当然、より少ないインプットでより多くのアウトプットを、より少ないコストでより多くのリターンを得ることで生産性は高くなる。
農業で考えてみると、売上高や収穫量が分子(アウトプットやリターン)となる。土地代や人件費、その他にも設備投資額などが分母(インプットやコスト)になる。
生産性の指標には様々あるが、今回は重要な3つの生産性の指標とそのコンセプトを整理した。3つの指標の優先順位はないが、バランスよく確認しながら利益を押し下げている要因等を分析するために利用してもらいたい。
その1「土地生産性」
収穫量÷耕作面積
農業で最も頻繁に使われる指標の一つがいわゆる反収だ。反収とは1反※当たりの収穫量を表す言葉で、土地生産性の指標に当たる。
生産者として狭い面積で大量に生産できるにこしたことはないというのは直感的にもすぐにお分かりいただけるのではないだろうか。ただし、これまで日本では反収ばかりが重要視され、他の重要な生産性指標(後述)を軽視してきたように思われる。
土地生産性が重要なことは間違いないが、唯一絶対の指標ではない。重要度は他2つの指標と同様であることを認識すべきだ。なお、反収は一般的には露地に比べて資本集約的かつ労働集約的な農業である施設園芸の方が高くなる。
※1反=1,000㎡=10a(アール)
その2 「労働生産性」
収穫量÷労働量
個人農家が多い日本農業ではあまり意識されてこなかった指標だが、農事法人が増加している現在、労働生産性は最も重要視されている指標の一つだ。「労働量=従業員数×労働時間」であり、現場の農作業を効率化することで労働時間や従業員数を減らし、労働量(≒人件費)を減らすことができる。6次産業化等に成功している農家では収穫量でなく生産量(加工後の最終商品の量)として指標を見る場合も多い。
個人農家が自分の時給を確認してみることも大切だ。個人農家にとっても労働生産性を高めることで、耕作面積を広げられたり、営業活動に取り組んだりする時間を確保することができる。
反収に気をとられ過ぎないこと!
土地生産性と労働生産性の関係に関して、極端な例として以下A・Bのような条件の2つの農家があるとする(B’はBの耕作面積を拡大=2反した場合)。
土地生産性は圧倒的にAの方が高いが、労働生産性はBの方が高い。農地を追加で確保するのにお金がかからない(農地が隣に余ってる)として、Bは一生懸命反収をあげるよりも今の反収のままで良いので規模拡大(2反)して生産した方が良いことがわかる。
このように反収ばかりに気をとられて労働生産性を考えないと誤った判断をする恐れがある。反収に気をとられすぎないことが重要だ。