注目キーワード

生産者の取組み

【物流2024年問題】「地域限定直売サービス」地元の販路を開拓して課題を解決!

近距離での販売は、地産地消につながり、鮮度の劣化も抑えられる。地域に密着した新しい短距離輸送として、地域限定の会員制直売ECサービス「地産Market」と、農家自らが仕入れから輸送までを行う森畠農園をピックアップ。

ECサービスを通じて
地産地消の物流を構築


毎日更新するカタログ。マーケットオーナーは、月33,000円のシステム利用料+売上の8%の手数料を支払い、生産者と購入者は原則無料。40軒ほどの実需者の登録・利用とその需要を満たす出品数があれば、安定した運営ができるという。

スタートアップの株式会社PROPELaが、農産物流通の課題解決のために2023年にリリースした地域限定会員制直売ECサービス「地産Market」地域の直売所や道の駅がマーケットオーナーになり、生産者から届く作物をその日のうちに会員(地域の購入者)に配達するサービスだ。

その仕組みはこうだ。生産者はPROPELaの収穫登録アプリ「地産Net」で野菜の収穫期を登録→収穫期に毎朝届く通知に、出荷の対応可否をリアクション→1日限定のオンラインカタログが生成され、飲食店などの地元の購入者が夕方までに注文→翌朝、生産者は受注分を集荷場所に持ち込み、直売所や道の駅などのマーケットオーナーが購入者に配達する。

生産者は、売れ残りのリスクがなく、袋詰めなどの手間やコストも削減。流通経費を抑え、規格外も販売できるので手取り価格も上がる。

現在のユーザーは、農産直売所をはじめ、単位農協や有機農家グループなど。協業相手としても、地域拠点のフィナンシャルグループなどが手を挙げる。2028年までに200拠点まで広げる計画だ。


株式会社 PROPELa代表の山中祐一郎さんは建築家・デザイナー。2019年、農業課題解決を掲げるビジネスコンクール「DeepValley Agritech Award」で地産地消の事業化を提案し、コンセプト部門最優秀賞受賞。主催の深谷市から出資を受け、2021年より実証実験に取り組む。

 


問い合わせ

株式会社 PROPELa
 

農家自らが作る
物流・販売システム


森畠正輝さんが考える「農家が作る物流・販売システム」は、2022年の「おおさかアグリイノベーショングランプリ」で準グランプリを獲得。

大阪の最北端に位置する人口9000人ほどの能勢町出身の森畠正輝さんは、名古屋の青果の仲卸会社などの営業マンを経て、2020年に両親が兼業農家を営む地元で就農した。農薬・化学肥料は使わず野菜や米、栗を年間約40種類栽培している。取引先は有機農産物や地場産農産物を取り扱う小売店や宅配サービスで、一般のスーパーと比べると、多様な品目を少しずつというニーズがある。しかし生産側は品目を絞り、大量に出荷する方が効率が高い

そこで考えたのが、地元の生産者の作物をまとめて販売する方法。自身の作物に加え、各農家から仕入れることで安定的に多品目の野菜が供給できる。地域のつながりがあることから誰が何をどの時期に栽培しているのかがわかり、情報共有もしやすい。現在は2人の地元生産者から仕入れ、大阪の5店舗と取引。運送費は仕入れ価格込みで、店舗の受注を受けてから毎週金曜日に大阪へ運ぶ。


大阪への出荷は軽ワゴンでコスパよく

「専業の農家が少なかった能勢町ですが、最近は有機農業を目指す新規就農の移住者が増えています。大阪、京都、神戸まで車で1時間という都市近郊型農業という強みを活かし、販路を広げて地域の農業を盛り上げたい」と森畠さん。農家だからこそできる新しい物流の挑戦が続いていく。


取引先の店舗で自ら品出し。能勢町では、さまざまな作物や作型で栽培している生産者が多く、大手の業者では扱いづらい少量・多品目の作物が揃うのが強み。

 

問い合わせ

森畠農園

農林水産品・食品物流問題相談窓口
2023年12月より「農林水産品・食品物流問題相談窓口」の設置がスタート。物流確保に向けた対策をはじめ、他の地域や事業者の取組状況、パレット化、モーダルシフト、中継輸送など物流改善に活用できる補助事業など、気軽に相談できるので活用してみよう。
<問い合わせ先>
農林水産省 大臣官房新事業・食品産業部食品流通課 TEL:03-6744-2379
北海道農政事務所 生産経営産業部事業支援課 TEL:011-330-8810
東北農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:022-221-6146
関東農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:048-740-0145
北陸農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:076-232-4149
東海農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:052-746-6430
近畿農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:075-414-9024
中国四国農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:086-222-1358
九州農政局 経営・事業支援部食品企業課 TEL:096-211-9371
内閣府沖縄総合事務局 農林水産部食料産業課 TEL:098-866-1673

 



 


取材・文:後藤あや子

AGRI JOURNAL vol.31(2024年春号)より転載

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 農作物・畜産の悩みに海藻が効く? 「アスコフィルム・ノドサム」の効能に注目!...
  2. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  3. 絶品の柑橘、高評価の要は「光センサー」。ふるさと納税サイトで売上アップへ...
  4. 水田除草もスマート化! これから活躍が期待できる除草ロボット3選
  5. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  6. 名物お漬物が消える日 改正食品衛生法の経過措置が5月末で終了
  7. 【製品モニター募集】超軽量&ハイパワーな共立の新エンジン草刈機を体験しよう!...
  8. 業界初!60度の急斜面でも草刈り可能な草刈機「ベローン」で安心・安全&ラクな作業へ...
  9. 強力な多年生雑草もすっきり一掃! コメリのおすすめ除草剤「マルガリーダ」とは?...
  10. 雑草のプロフェッショナルに聞く! 草をマルチにするメリットと留意点

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.31|¥0
2024/04/19発行

お詫びと訂正