花き産業がアツい! 農水省も注目の「青いキク」
2018/01/18
農水省によって選出され、年間の農業トレンドを指す「2017年農業技術10大ニュース」。そのひとつとして、農研機構とサントリーによって共同開発された「青いキク」がランクインした。これまで生産が難しいとされていた青色のキクだが、どのような方法で開花を成功させたのだろうか?
品種改良でも
開発困難!?
キクは日本の切り花出荷量の40%を占め、世界でもバラやカーネーションと並ぶ主要な花きとして知られている。赤、黄色、オレンジなど様々な花色のあるキクだが、青はなく、長年青いキクの開発が望まれてきた。しかし、そもそもキクには青い花もつ近縁野生種が存在しないため、交配をはじめとする従来の品種改良法では、青色のキクを開発するのは困難だった。
研究を重ね、ついに開花した
美しい青色のキク
そこで、農研機構野菜花き研究部門は、サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社と共同で開発をスタート。遺伝子組換え技術を用いて、青紫色の「カンパニュラ」と青色の「チョウマメ」の色素修飾遺伝子を導入することで青いキクの開発に成功した。
また、導入した2つの色素修飾遺伝子の働きで、構造を改変した色素とキクが元々もつ無色の物質(フラボン)が共存することで青色になることも解明。既に、デコラ咲きやポンポン咲きなど様々な花形のキクを青色にすることに成功している。
写真提供:農研機構
青いキクの誕生により、キクの高付加価値化や新たな用途の提案が可能となることに加え、バラ、カーネーション、ユリ、ダリアなどの他品種にも応用展開できる可能性があり、花き産業の発展に期待がかかる。
現在、青いキクの国内栽培・販売に向けて、野生種との交雑による生物多様性影響リスクを低減するための研究開発を、10年後の完成を目指し進めている。
問い合わせ
農研機構
野菜花き研究部門 広報プランナー 望月寛子
TEL 029-838-6575