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【遠隔地からロボットで農業体験!?】 最新技術を活かした農業×福祉の現場

テクノロジーとノウハウを駆使して、農業に参加することができる、地域課題に挑む新サービスの開発が進められている。

ロボット技術で
農業と人々をつなぐ

「持続的に社会が発展する世界の創出」を目指し、革新的な人間拡張技術を駆使して社会課題に取り組む団体を支援する公益財団法人PwC財団。同財団の初の助成先であるH2L株式会社は遠隔で農業を体験することができるサービス「RaraaS(ララース)」の開発に取り組んでいる。

RaraaSでは、スマートフォンアプリを経由して、遠隔地の農作業ロボットのアームをリアルタイムで制御することによって、ユーザーはまるで実際に圃場にいるかのように収穫作業を行うことができる。このサービスを利用することで、遠隔地から農業体験を楽しめるほか、外出が困難な障がい者の農業参画や、都市部の労働者が地方の労働に参画する社会構造の構築などが期待できる。

圃場での実証実験の様子。生産者が離れた場所からロボットを動かして作業を行った。初めてでも、操作は容易に行える。

 

PwC財団の社内で行われた実証実験の様子。参加者は実際にアプリを使い、遠隔でバナナとイチゴのつかみ取りにチャレンジした。

今後の事業展開として、PwC財団の担当者は、「産官学を巻き込みながら、継続した実証実験を行い、DXシステムの形成を目指していく」と更なる発展に前向きな姿勢を見せている。また、今後はRaraaS以外にも複数の助成事業を同時並行的に推進していくことで、農福連携×労働力の減少×地方創生といった複合的な社会課題の解決を目指していくという。

社会課題解決に挑む
PwC財団の助成事業

2022年6月3日、PwC財団はRaraaSを始めとした助成事業の一定の成果を踏まえ、今後事業を本格展開することを発表した。

【今後想定される助成事業のテーマ】
1.産官学を巻き込んだ継続実証事業及び農福連携×産業 DX エコシステム形成事業
実証実験によって明らかになったステークホルダー(病院、自治体等)と連携したより高度な実証事業の展開。
2.健常者も含めた遠隔農業サービスパッケージ化による地方農業の担い手不足解消事業
農福連携目線よりも、より分散型経済実現の方向に力点をおいた実証事業の展開
3.遠隔操作ロボットによる高重量農作物の省人化技術実証事業
2020 年度助成事業において取組きれなかった、ハードウェア・ロボティクス側面により力点を置いた実証事業
4.2020年度助成事業の成果、及び現時点のTheory of Change等の知見の社会還元事業
当該領域にチャレンジする事業者・自治体・病院等のモメンタム形成を目的とした外部向け講演会等の実施

助成事業と聞くと、“お金の支援” というイメージになりがちだが、PwC財団は “人材” も惜しみなく提供する。「プログラムオフィサー」と呼ばれる担当者が、助成先団体と二人三脚で伴走し、事業の中長期的な展開方法や、その道筋を共に組み立てていく。たとえばRaraaSの事業では、スマート農業分野に精通したスタッフもプログラムオフィサーとして参加し、AI技術を農業に展開していくためのプロセスを細かに設計し、事業展開を進めている。こうした手厚いフォローや事業への熱意こそが、PwC財団の特異な点だ。

私たちが抱える、農業従事者の減少や地方創生といった社会課題の解決に、PwC財団が今後どのように挑んでいくのか、その活躍に期待が高まる。

問い合わせ

公益財団法人PwC財団

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