中山間地農業を元気に!ルネッサンス事業が新設
2017/03/29
全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割を占める、中山間地の農業を元気にする制度「中山間地農業ルネッサンス事業」が新たに始動する。どのような制度なのか?
地域の特色を生かした農業を
応援する制度が新設
全国の中山間地はいま、傾斜がきついなど地理的に不利な条件に加え、鳥獣被害の増加、人口減少・高齢化による担い手不足など、厳しい状況に置かれている。一方で、平地に比べて豊かな自然、景観、気候、風土条件を生かせば、中山間地での農業も、十分に収益力を高められる可能性を秘めている。
そこで、棚田に代表されるような中山間地の特色を生かして、経営規模にかかわらず、意欲的に取り組む生産者を支援し、中山間地農業を元気にしていくため新設された制度が「中山間地農業ルネッサンス事業」だ。
農地をはじめとする地域資源の維持・継承を図りつつ、地域の特色を生かした農業の展開、都市農村交流や農村への移住・定住の促進を目指して、国は平成29年度に400億円を計上。中山間地農業の振興を図る計画を都道府県が策定し、それに基づいて国が支援事業の採択を行う流れになる。
農業×多方面での連携を支援
地域交流の仕組みづくり
具体的に支援対象として想定されているのは、例えば次のような取り組みだ。地域の特色を生かした農業を展開するためには、農地や農業施設の改善、集落営農の法人化など生産体制の確立、6次産業化やブランディング、あるいは地産地消の取り組みなどが考えられる。
また、都市農村交流や農村への移住・定住を図る試みとしては、インバウンド需要を呼び込む農泊、農業だけでなく教育・福祉などと連携した交流の仕組みづくりも考えられるだろう。さらには、新たな取り組みを加速にするにあたって、専門知識を持つ外部専門家によるきめ細かな営農指導や、地域を牽引するリーダーの確保・育成など、人材の充実も欠かせない。
生産者には大きなチャンス!
交付金や補助率の引き上げも
中山間地農業ルネッサンス事業では、こうした各種の取り組みに際して、中山間地への優先枠の設定や、交付金の条件緩和、補助率の引き上げなど、包括的な制度拡充が行われる。中山間地で農業に取り組む生産者には大きなチャンス。詳細は農水省、もしくは都道府県の担当部署に問い合わせてほしい。
Text: Kazuko Kojima