肥料代ゼロ! 緑肥作物を利用した地球に優しい農業
2017/08/21
緑肥を使い収量を確保する
有機栽培農家
雪印種苗の新製品発表会にて、伊豆陽なたビオファーム主催の米倉賢一さんは、「緑肥作物を活用した環境にやさしい野菜栽培 -生産性の向上とCO2の排出削減を目指して-」という講演を行った。米倉さんは、耕作放棄地で有機栽培を開始して以来、徐々に規模を拡大、現在は51.3aの農地でジャガイモ(春秋)、タマネギ、ナバナ・ニンジン(夏冬)などを緑肥だけで生産している。同氏の緑肥を活用した手法に雪印種苗が注目し、今では同社の顧問となっている。
発表会では、米倉さんの体験談の形式で緑肥を用いた栽培例が多数紹介された。その中での、春ジャガイモの栽培を紹介しよう。
米倉さんは、2009年10月30日、雑草が繁茂し、ゴミが投げ捨てられていた耕作放棄地に”まめ助”という品種の緑肥、ヘアリーベッチを播種。すき込みは翌年3月14日に実施。その時のヘアリーベッチの草高は30~35cm、10a当たりの生草重は5,360kg、乾燥重604kg。茎葉の繊維は柔らかく、”絡みま線”装着ロータリー2回掛けで、全く絡み付くことなく綺麗にすき込みが完了したという。このヘアリーベッチに含まれる肥料成分は、10a当たり窒素25kg、リン酸3kg、カリ24kgであり、有機肥料の施肥なしで、すき込み当日、そのままジャガイモ(キタアカリ)の種イモを植付けたという。
<雑草抑制効果抜群の「まめ助」(写真提供:雪印種苗株式会社)>
翌年以降も同様の手法で栽培を継続したところ、緑肥特有の中長期的な土壌環境改善効果が現れ、収量は2010年は2,500kg/10a、2011年には3,000kg/10aと、増えていったという。
「天候や自然を頼りにするのが農業ですよね? ところが、その農業が、化学肥料を大量消費することで、地球温暖化の一因となっています。そんなことをしなくても、緑肥を適切に使えば収量は確保できます。少しでも多くの方に、緑肥を使った地球に優しい農業を知って、実践してもらいたいのです」(米倉さん)。
<米倉さんが発表した緑肥の栽培例のスライド>