農業の「働き方改革」 成功事例を知ろう!
2018/04/09
農水省が行った農業の「働き方改革」検討会では、様々な経営体が実際におこなった取り組みの内容、これからの課題などが報告された。これらを参考にして、自分が目指す経営の形をもう一度見直してみよう。
6次産業化への挑戦で
人材育成にも効果が
【ケース① 株式会社六星】石川県、種別:米
通年雇用を実現
冬場の雇用維持のために、6次産業化に取り組んだ。
→効果は?
営農部門の従業員は1~10月は水稲の生産事業、11、12月は「餅」の製造等に従事し、通年雇用を実現した。
多様な人材の確保・定着
6次産業化を本格的に展開するに当って、営業・商品開発を担当する人材が必要になった。そこで、人材を採用する際にも、給与水準や休暇などの待遇を他産業並みに充実させるなど、募集対象者の不安払拭に取り組んだ。
また、一般の方に向けて、商品開発や販売などの6次化に取り組んでいる点をアピールするため、県内の一般企業向け説明会にも出展した。
→効果は?
全国から若者が集まり、平均年齢が下がり、34歳に。ほとんどが非農家出身だ。離職者もほぼ発生しておらず、高い定着率を実現した。
人材育成でビジネスが拡大
6次化を進めるための加工・販売などの多様な知識・経験を習得させるために、各部門間で人事異動を行った。
→効果は?
加工生産は当初餅のみだったが、若手従業員の意見を取り入れて始めた総菜加工や和菓子は、餅加工についで加工部門の主要な事業となった。
男女ともに快適な環境づくりで
離職率が大幅低下
【ケース② セブンフーズ株式会社】熊本県、種別:養豚
女性従業員の離職が意識改革のきっかけに
19名いた女性従業員のうち、1年間に6名が離職。力仕事や、重機での作業などの畜産の特性から、男性中心の組織づくりになっていたことも原因の1つだと考え、経営者の意識改革につながった。
一人一人にあったキャリアプランの作成
正社員としての所定労働時間を緩和し、育児や介護を行う社員のための支援制度を導入した。
また、男女共通の研修や、女性社員・リーダー研修を設けるなど、男女が公平に役職者への昇進の機会をえられるように改善。本人の意向に応じて、女性も幅広い業務を担当している。
→効果は?
採用説明会の参加者の半分程度が女性に。また、新規採用者も約半数が女性となった。
働きやすい環境整備
休憩室、シャワー室、屋内・屋外トイレの設備など、環境の整備を徹底。
年に数回、経営者と女性社員との交流の場を設け、生の声を聴いて労働環境改善計画を策定している。
→効果は?
就業一年未満の離職率が、50%からほぼ0%に。結婚などで退職した女性も、勤務時間限定正社員制度を活用し、再び正社員として勤務するようになった。この制度は、子育てとの両立を希望する従業員も活用している。